◆空港検疫すり抜け患者の濃厚接触者の行動詳細を初めて公表、14日間隔離の重要性がまたまたまたまた明らかに
極めて異例な対応が続くオミクロン株。ついに、厚生労働省(厚労省)が16日、空港検疫すり抜け患者の濃厚接触者の行動詳細を初めて公表しました。自治体管理の人の詳細を発表するなど、この二年間頑なに情報開示をしてこなかった中では前代未聞の出来事。それだけ危険な状況であることを示唆するものになっています。
16日に発表されたのは、空港検疫をすり抜けて、自宅隔離中に発症した患者の濃厚接触者の陽性です。
東京都が発表した内容を基に、濃厚接触者への注意喚起がなされています。
今回発表された1人目の陽性者(患者)は、厚労省管轄の空港検疫で入国時陰性ですり抜けた人物です。居住地である東京都で自宅隔離中に発症したため、発表の管轄は東京都に移っています。
今回のように空港検疫で陰性ですり抜けて東京都で陽性となった事例の場合、詳細はこれまでほとんど開示されていません。半分程度は調査中の毎日の発表で「海外渡航者」事例として人数が公表されるだけでした。国籍や渡航目的はおろか、行動歴、年代、性別、乗っていた便名、そもそも到着日すらも、隠匿されます。
濃厚接触者に至っては、海外渡航者の濃厚接触であることはほぼ示されず、実態は全く分かっていませんでした。
今回、1人目の患者は、米国から入国の20代女で、12月9日に発熱等を発症したことは公表されました。オミクロン株感染だったから、特別対応され、公表が実現しています。
そして、1人目と濃厚接触した2人目は、12月10日に発症。にもかかわらず、12月12日には神奈川県の等々力競技場でサッカーを観戦していたことが発表されました。このため、観戦をした人に向けて注意喚起がなされました。
今回、1人目がたまたまオミクロン株だったから、様々な公表がされましたが、デルタ株等だったら、隠匿されていたであろう事例でした。
■自宅隔離ということは恣意的地域設定の大失敗
今回、入国者は米国からの入国であることが公表されました。米国は今夏以降毎日10万人前後の陽性者が出続けていますが、日本の水際対策では強制隔離期間が最長でも三日間しかない超危険国家です。その中で、自宅隔離となっていたことから、オミクロン株不安無しと厚労省が判断した州からの入国とみられます。つまり、厚労相の判断が甘く、国内密輸を防げなかった事例となってしまいました。
アフリカ南部諸国のように、有無を言わさず10日間強制隔離にしていれば防げた事例なのに、なんともマヌケな事態になっています。
強制隔離の期間設定は、現地の状況を分析して決めているとされています。しかし、今回のオミクロン株対応では、現地感染が大して酷くなく、オミクロン株の市中感染が確認されてない国でもアフリカ南部ならいきなり10日間隔離になっている一方で、米国のように現地感染が半年もヤバい状態で、オミクロン株の市中感染も出て、日本の空港検疫で事例が出ていても、強制隔離にならない国も多数あります。こういった国は、欧米に多く、結局のところ、例外をどうするかの基準を設けずに恣意的に運用しているため、今回のような大失敗に繋がってしまっています。
今回の発表では、入国者の入国状況は公表されていませんが、一部の報道で12月8日に入国したとされています。そうだとすると、発症したのは入国翌日。3日間でも強制隔離をしていれば防げた事例でした。
隔離免除となっていた五輪対応の結果(当時はデルタ株が主流)について、国立感染症研究所が分析した速報では、入国3〜5日後が発症のピークになると分かっています。こういった科学的根拠が全く活かされなかったわけです。
■結局はウイルスを撒き散らすのは日本居住者
今回の最大の問題点は、濃厚接触者への市中感染が出ている点です。
今回の発表では、濃厚接触状況は公表されていませんが、一部の報道で、入国当日から二日間会いに行ったことが分かっています。濃厚接触者は同居人ですらないとしており、自主隔離は一切守られませんでした。(総理大臣も同じことをしているので、日本国はとやかく言う資格は無いんですが、、、。)
入国者の同居人が感染するケースは昨年から多発しています。昨年6月にはパキスタンからの入国者の同居人が陽性となる事例が多数出た愛知県が成田から出すなと要望も出したほどです。自宅隔離の場合、同居人と接触しないことはできないので、当然と言えば当然。このため、帰国後自宅に帰宅せず、ホテルに14日間自主的に入る人などもいますし、逆に14日間を同居人がホテルや実家暮らしする方法も取れるでしょう。
しかし、そういった代替手段を取らない人もいます。そもそも、なぜか、空港へお迎えに来る家族や会社の運転手、友人などもおり、それらの人への感染もチラホラ見られます。
前述の通り、入国後は都道府県管理に移ってしまい、ほとんどのケースは発表されないため、これらのケースの実態は闇の中です。それでも時々発覚するので、かなり頻繁に発生しているとみられます。
理論上は、入国者がウイルスを密輸したとしても、14日間誰にも会わなければ、日本国内に市中感染しません。
あるいは、濃厚接触者が(会ってから)14日間自主隔離していれば(=最大で入国後28日間)、日本国内に市中感染しないはずです。
日本居住者が濃厚接触し、自由に動いてしまっては、自主隔離をしていないのと同じです。
入国者を目の敵にし批判する人が多いですが、結局、ウイルスを撒き散らすのは日本居住者です。
今回の事例は、改めて、入国者を迎え入れる日本居住者の重要性がクローズアップされたものになりました。
昨年初夏には判明していることなのに、入国者にも日本居住者にも、なかなか浸透しませんね。
■極論すると検査は要らない
そうやって考えていくと、14日間隔離をしていれば、ウイルス密輸はほぼ防げますから、入国時検査はしてようがしてまいがあまり関係がありません。
ワクチンも関係ないです。ワクチン証明や陰性証明が必要なのは、施設や飛行機を利用時に安心するためだからで、ウイルスを日本国内に持ち込む点においては、入国時検査以外ではあまり意味がありません。
検査の方法がおかしいとか、外人を入れる入れないとかを指摘する人は多いですが、そんなことよりも何百倍も、14日間隔離の問題点の方が重要で、指摘すべき事項です。
とにかく14日間隔離の徹底を早くしていきませんか。
■新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者の発生等について(厚労省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22860.html
2021年12月18日
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