新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に関連した空港検疫のすり抜け事例がジリジリ増加していることが判明しました。すり抜け率は15%を超えています。
厚生労働省（厚労省）は、COVID-19のオミクロン株が猛威を振るっている影響で特別な対応を続けています。
この中で、オミクロン株だけですが、これまで発表されることのなかった、空港検疫での陽性数、海外渡航者が国内に入り込んでからの陽性数（都道府県発表数）、それ以外の陽性数（直近の海外渡航歴がなく、現時点で感染経路が明らかになっていない者等）を発表しています。
1月5日の更新で、1月4日21時現在の数字が公表されました。
・水際関係空港検疫 602人（強制隔離後陽性者を含む）
・水際関係都道府県発表 110人（いわゆるすり抜け事例）
・それ以外 479人（いわゆる市中感染）
水際関係（＝直近海外渡航歴あり）のうち15.4%はすり抜け事例となっています。
12月31日時点では、空港検疫452人・都道府県発表66人＝すり抜け率12.7%でしたから、ジリジリと悪化しています。
空港検疫での陽性率は、ここ2週間ほどは2%程度まで超爆増しています。単純計算だと、すり抜け者が入国者全体の0.4%程度（入国3,500人だとすると毎日14人）存在している可能性があります。
ちなみに、日本国内の第五波ピークの今年8月20日頃の日本の治療中罹患率は0.2%弱*でした。つまり、すり抜け者だけで、日本国内の第五波ピークの2倍の割合も存在している（＝空港検疫で0.4%＝14人すり抜け陽性とは、日本の人口で言えば48万人が気が付かずに徘徊しているのと同じ＋この徘徊人とは別に240万人が発症中という意味）ことになります。
これまで、空港検疫ですり抜けたあと都道府県で発表された数字は集計されたことはなく、すり抜けの実態は分かりませんでした。オミクロン株が蔓延したからこそ判明した非常に珍しいことで、語弊があるかもしれませんが、「オミクロン株のおかげ」と言っても過言ではない事態です。
そもそも、日本では、昨年1月8日までは、空港検疫で検査しないで入国できていた人もいたほど、すり抜けは「超まれな事例」だとして運用されていました。実際のデータを基にすると、隔離期間を短縮するなどもってのほかで、強制隔離を絶対に実施しなければならないということが改めて判明しました。
きちんと分析すると、昨年1月までのいい加減な水際対策の実態が見えてきます。「すり抜け陽性者がいるとは「聞いていない」から大丈夫」という正常化バイアスにかかることなく気を付けて、14日間入国者は日本国内居住者と接触しない、14日間日本国内居住者は入国者と接触しないを徹底したいですね。
水際対策を巡っては、この年末年始に、米軍関係者のすり抜け事例が多数報告されて大きな問題となり、沖縄や山口などでは第六波に入り込んでいます。
東京都などでは、2021年12月下旬以降、すり抜け事例が超爆増していました。
・戦慄!すり抜け12月から超爆増（2022年1月4日配信）
https://johokotu.seesaa.net/article/485075223.html
・戦慄!強制隔離もすり抜け続く（2022年1月4日配信）
https://johokotu.seesaa.net/article/485075348.html
■オミクロン株の国内発生状況について（厚労省公式サイト）
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23172.html
*：空港検疫と同じ比較ができる治療・療養中の陽性者の割合（＝今罹患中の人/人口）です。報道などでよく出てくるのは、例えば新規陽性者の合計で出した罹患率（総感染者数/人口）とか、検査した人のうちの罹患率（新規感染者数/検査数）などを出してくることが多いですが、それらとは比較は不適切です。空港検疫では検査数は≒入国者数（いわば人口みたいなもの）、陽性者数は今罹患中の人なので、空港検疫での陽性者数/検査数は、国内で言えば今罹患中の人/人口との比較になります。
「2021年8月頃に陽性率30%とか言って大変だったなあ。それに比べれば空港検疫の2％なんてかわいいもんじゃん。」と思った方、それ、完全な勘違いです。空港検疫2%やすり抜け0.4%と比較する数字は、当時国内で0.2%弱だった数字です。いまの空港検疫は、すり抜けた人だけで、もう当時の日本を軽く超えていますので、充分注意したいですね。
空港検疫ありがとう
ウイルス流入阻止へ水際で頑張る皆様を応援します
#Light It Blue
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