2021年12月05日

めざましな高台でCATch(旅行後)

※本旅行記は2022年1月に公開したものです。



■2021.12 (東京シティエア ターミナル)の旅行後

今回は久しぶりに東京シティエア ターミナル(T-CAT)を訪れました。
成田空港行のバス乗り場が閉鎖されるなど、利用が激減しているようでした。
シティエアターミナル(CAT)は単なるバス発着施設ではなく、あくまでも空港アクセス施設ですから、コロナ禍でますますその存在感が薄れてしまっています。
そこで今回は全国のCATを見直してみました。

■東京シティエア ターミナル T-CAT
今回訪問したT-CATは東京地区のシティエアターミナルです。
1972年に設置された老舗で、首都高速箱崎ジャンクション(JCT)の真下に設けられた施設は、とにかく空港アクセスに特化して造られた特異な存在です。

昭和の香りが残るターミナルは、商店が入ったただのバスターミナルといった印象です。
しかし、かつては航空便のチェックイン施設などがありました。T-CATで二時間前までに手続きを済ませれば、あとは成田までバスで手ぶらで寝て行くだけ。成田空港では直接出発口に行けるという便利な施設でした。
ところが、手荷物受託した後、航空機に搭載するまでの間に手荷物にいろいろなものを混入出来てしまうことから、2001年の同時多発テロのあと、テロ対策で手続きが中止に。チェックインは出来なくなり、今は、ただ、空港へ行くバスに乗るだけの施設に変わってしまいました

T-CATは箱崎JCTの真下にあるので、高速道路へのアクセスは抜群ですが、乗り入れる鉄道は半蔵門線だけ。今でこそ埼玉県東部や北千住・錦糸町方面からのアクセスができるようになりましたが、長い間渋谷方面からしかアクセスできなかったため、不便なバスターミナルという印象はなかなか取り除けませんでした。
そして、箱崎自体が渋滞の名所。東京駅をはじめ関東一円からの空港アクセスバスが充実している今、ただのバスターミナルに過ぎないT-CATからわざわざ利用とはなかなかならないのかもしれません。

今回、便が少なくなったT-CATを見て、終焉が近い可能性も感じましたが、実はT-CATは結構目を引く独自路線を続けています。ホテル隣接の立地を活かしてホールを設置しているほか、特徴的な飲食店が多く、なにより、1階には家具屋が入っているほど。毎日が旅行博になっていますし、そこらの商店街とは一線を画したラインナップでニッチな集客で繋ぎとめています

今回の訪問で、入国者用送迎車乗場が整備されていたのを見ましたが、成田空港から専用バスで入国者輸送する仕組みをさっそく始めたのは流石の一言。空港輸送に特化したバスターミナルの意地みたいなものを感じます。人が多い東京駅などではできない芸当かもしれません。

ちなみに、ターミナルの正式名称はロゴを見る限りでは「東京シティエア ターミナル」の模様(エアとターミナルの間に空白入り)。運営している会社は「東京シティ・エアターミナル」でシティとエアの間に「・」が入るほか、英字略称は「T-CAT」で「-」入りです。

・空港路線 成田国際・東京国際
・ゆるキャラ またたびくん

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高速道路が入り組む下にあるのがT-CAT。独特な雰囲気です。


■横浜シティ・エア・ターミナルYCAT
東京圏にもう一つあるCATが横浜シティエアターミナル(YCAT)です

T-CATとは異なり、スカイビルという商業ビルの一角に入居している施設です。横浜駅直結の神奈川イチ超絶便利な場所に立地しています。
にもかかわらず、空港アクセス特化にこだわることなく、高速バスターミナルとしてフル活用して利用者を獲得。おそらく、いま日本で最も繁盛しているCATになっています。空港アクセスも、羽田へは高頻度アクセスとして定着しており、京急線と良い勝負を続けています。
気付いている人はあまりいないかもしれませんが、南紀白浜空港行の高速バスも発着しており、成田、羽田、南紀白浜の3空港にアクセスできます。

ここもかつては航空便チェックインが出来ていましたが、いまはなくなり、ただのバスターミナルになっています。
ほとんどの人は、バスターミナルに空港便が頻繁に発着しているという程度の認識なのかもしれません。

現在のYCATは1992年(平成4年)に出来たもので、それまでは、駅から約1キロも離れた場所に立地していました。(11月の横浜見学時に訪れました。)
横浜駅前への移転したことで利用が定着した、アクセスバスの利便性のお手本のような存在です。

ちなみに、ターミナル名称と運営している会社は日本語の場合「横浜シティ・エア・ターミナル」で「・」が2か所入るほか、英字略称は「YCAT」で「-」は入りません。読み方は「ワイシーエーティー」ではなく「ワイキャット」だと公表されています。

・空港路線 成田国際・東京国際・南紀白浜
・ゆるキャラ CATY

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旧YCATの建物。1992年に移転後も何十年も放置されていました。
写真は2017年に撮影したもので、この直後に取り壊されました。
YCAT移転後、周辺にはたくさんの高層マンションが建ちました。


■大阪シティ エア ターミナル OCAT
大阪圏にあるのが大阪シティエアターミナル(OCAT)です。関空開港後の1996年に開業しました。

JR難波駅と同じ場所にある施設ですが、鉄道を使ったものではなく、バスを使ったCATです。
このCATは、横浜と同じように、ただ商業ビルの一角にあるだけに過ぎないように見えます。しかし、ビルの名前が「OCATビル」であるなど、CATありきで開発された、ビル自体が交通施設で、施設整備の考え方はT-CATに近いです。
難波という大阪の中心部にあることから、T-CATよりも商業施設は充実しています。さらに、航空券の発券等もできる航空会社の支店が入居するなど、バスターミナル機能だけではない航空系の施設となっています
国内で最も空港施設っぽいCATと言えるかもしれません。(見た目はどこからどう見ても、ただの大規模複合施設ですけど)

ここもかつては航空便のチェックインが出来ていましたが、既に廃止されています。
また、大阪圏にありますが、神戸空港行のバスは発着していません。

ちなみに、運営している会社は「湊町開発センター」。バスターミナルの名称も正しくは「湊町(OCAT)バスターミナル」と紹介されています。ターミナル名称は、ロゴを見ると「大阪シティ エア ターミナル」で二か所空白が入ります(公式サイトでは空白無しの表記をしています)。

・空港路線 大阪国際・関西国際
・ゆるキャラ なし


上記以外にも、国内には廃止されたCATが数多くありました。代表的なものは以下の通りです。

■京都シティエアターミナル 京都CAT
京都駅に設置されていたCATです。JR線を活用したCATで、輸送は特急はるかが使われていました。現在の地下中央改札口周辺がCAT施設でした。
関空の開港とともに始まりましたが、手荷物輸送もできなくなり、2002年に閉鎖されています。281系車両にはここで受託した手荷物を運ぶための荷物室がいまだに残っています。
2017年3月の旅行記(3日目)で取り上げています。
■なんばシティエアターミナル なんばCAT
南海のなんば駅(正式名称は難波駅)に設置されていたCATです。前述のOCATとは別物の鉄道を活用したCATで、中央口コンコースに設置されていました。こちらは南海の特急ラピートを使って輸送しており、当時は車両にも荷物室が設置されていました。
関空の開港とともに始まりましたが、2001年に廃止されています。
2017年3月の旅行記(2日目)で取り上げています。
■神戸シティエアターミナル KCAT
神戸港に設置されていたCATです。こちらは国内では非常に珍しい船舶便と組み合わせたCATでした。関空の開港とともに始まりましたが、2002年に廃止されています。
国内にあったシティエアターミナルの中では、最も空港ターミナルに近いデザインの建物を使っていました(パッと見は地方空港の旅客ターミナル)。その後、神戸インキュベーションオフィスが居抜きで入り、当時の雰囲気を残したまま運営されてきましたが、今年11月末で営業終了されることが決まっています。
2017年3月の旅行記(3日目)で取り上げています。

こうやって見てみると、大阪はバスに鉄道、船に至るまでCATがあって便利に空港に行けていた時代があったことが分かります。

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KCATだった建物は、神戸インキュベーションオフィスとして現在もそのまま活用。
雰囲気は完全に空港旅客ターミナルで、後ろの大型クレーンで港湾とかろうじて気付けます。
残念なことに今年11月に営業終了予定。建物はおそらくそのまま、、、!?


■モノレール浜松町シティエアターミナル MCAT
東京モノレールのモノレール浜松町駅に設けられていたシティエアターミナルです。1998年10月新設。2010年9月に廃止されています。
晩年は自動チェックイン機のみになった期間もあったほどでした。
詳細は施設概要のページへ(https://johokotu.seesaa.net/article/171611922.html)。

このほか、シティエアターミナルの名称を使っていませんが、自動チェックイン機が置かれていただけの、市中のチェックイン場所もありました。オンラインチェックインもできるようになったこともあり、現在は、軒並み廃止になっています。
新千歳空港絡みでJR札幌駅に、東京国際空港絡みで京急電鉄品川駅、東京モノレール浜松町駅に、福岡空港絡みで博多駅などに存在。珍しい所では、成田国際空港に近いホテル日航成田や羽田空港内の羽田エクセルホテル東急などにもありました。

■シティチェックイン 羽田空港第2ターミナル地下1階コンコース
東京モノレール羽田空港第2ビル駅(現・羽田空港第2ターミナル駅)に設置されていました。ANAが設置していたもの。羽田空港内ですが、ターミナルの中ではないので、一応市中チェックインの扱いになっていました。
詳細は施設概要のページへ(https://johokotu.seesaa.net/article/172115082.html)。


海外には、CATがフル活用されている国もあります。

例えば、大韓民国(韓国)では、ソウル駅に直通鉄道を活用するCAT、三成洞と光明駅にバスを活用したCATがあり、手荷物受託や出国審査もできるようになっています。仁川国際空港では専用の出発口の利用が可能です。
中国では、香港国際空港用のCAT施設が、深圳や澳門等のフェリーターミナルにあるのが有名でしょうか。チェックインのみですが完了できます。北京では世界最大のターミナルを持つ北京大興国際空港のチェックインが草橋駅でできます。中国は複数の空港で似たような施設が展開されています。
台湾も、台北駅に台北国際空港のチェックインができる施設があります。

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韓国・ソウル駅にあるCAT施設。
新型コロナウイルス感染症の影響で2020年4月から運用が停止されているそうです。


世界を見てみると、空港直通鉄道の駅などに、自動チェックイン機を設ける事例も多いです。
日本は保安上の理由からCATが廃れてしまいましたが、韓国のようにCATがフル活用されている国もありますから、お家にいる今の間に事前に調べておいて、海外旅行に行けるようになったら、その国その国にあったCATでもっと便利に空港を利用したいですね。

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カナダ・バンクーバーSKYTRAINのBridgeport駅にあった自動チェックイン機。
空港直通鉄道の駅とはいえ、小規模な駅で、
日本で言えば、東京モノレール天王洲アイル駅の階段途中にあるようなイメージです。



さて、南アフリカで、感染力が強いと推定される新しい変異株が見つかりました。アフリカ南部の国々が猶予も与えられずにいきなり10日間強制隔離となるなど、警戒感が一気に高まってきました。
これから年末年始にかけて日本国内での感染拡大も懸念されますため、空港訪問は控える不要不急外出自粛期間に再び戻ることにします。次に旅行記が書けるのはいつになるでしょうか。早く来てほしいものです。


今回は、昨年10月、11月に引き続き、空港関連施設を見学するためにとにかく屁理屈を並べてみました。STAY HOMEを頑張ったり、仕事で仕方なく空港を利用する人が大勢いる中で、独り善がりの考えでCAT訪問をしてしまいましたので、今回の記事にご不満やズルいぞ、という方も大勢いらっしゃると思います。
一応、他人を感染させるリスクは最大限低減する動きをしたつもりですので、ご容赦いただきたいですが、何だかモヤモヤ訪問でした。

空港アクセスには、シティエアターミナルという選択肢もあります。
感染が落ち着いて、動けるようになったら、不特定多数が乗る鉄道よりも、航空利用者が中心のバスで、快適に安全に空港へアクセスしてみませんか。
そんなことを考えながら、今回の旅も終了します。





空港検疫ありがとう
ウイルス流入阻止へ水際で頑張る皆様を応援します
#Light It Blue

posted by johokotu at 21:00| 東京 ☔| Comment(0) | ◆旅行記 | 更新情報をチェックする
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