◇驚愕!空港検疫をめぐるマスメディア報道で誤報だらけの記事が配信
昨年12月から急増している空港検疫でのオミクロン株陽性者の分析を巡るマスメディアの報道で、誤報だらけの酷い記事がありましたので、取り上げておきます。
本日10時に配信された朝日新聞の記事です。
■検疫の陽性最多は米国、厳格措置はアフリカ諸国 問われる水際対策(朝日新聞社公式サイト)
https://www.asahi.com/articles/ASQ1J6TNZQ1DULBJ00G.html
YAHOO!JAPANでも配信されています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/2944ef856264bc62d01de2df84ffc50eed1caf93
1面にお詫び載せるのが当たり前なぐらい酷い偏見に基づいた誤報でした。
データに基づいて考察をした方が良いことが分かる悪例の典型のような記事です。
スルーすることもできたのですが、内容があまりにも酷いので、取り上げます。
誤報の主な内容は以下の通り。
・「外国人の新規入国を一時停止しているため、この間の入国者はほぼ日本人とみられ、」
→(誤報)半数程度は外国籍者です。「新規入国」を禁じたら外国籍者は入国しないという勘違い、偏見に基づいた著しい誤報です。
少なくとも11月28日〜1月6日分は国籍別の陽性者数が厚労省から発表されており、日本国籍者は約56.8%。「ほぼ日本人」という状況では全然ありません。傾向として、年末は邦人が多かったですが、クリスマス以降は既に外人が超えています。こういったデータを無視するのは良くないですね。
11/28-12/04 邦人2人・外人10人
12/05-12/11 邦人17人・外人7人
12/12-12/18 邦人45人・外人8人
12/19-12/25 邦人132人・外人34人
12/26-01/01 邦人150人・外人204人
→11/28-01/01 邦人346人・外人263人
例年年明けは入国者数に占める外国籍者割合が増える傾向にあるため、1月2日以降も外国人が多い可能性が高いです。
詳細は当サイトで既に取り上げています。
https://johokotu.seesaa.net/article/484858130.html
https://johokotu.seesaa.net/article/484943973.html
https://johokotu.seesaa.net/article/485121393.html
https://johokotu.seesaa.net/article/485122269.html
https://johokotu.seesaa.net/article/485213203.html
・「米軍基地で判明した陽性者は含まない。」
→(誤報)米軍基地で判明した陽性者は、民間機で飛んできて空港検疫で検査後そのまま強制隔離もせずに基地に入った米国軍人も含まれているはずです。
年末の報道でも米軍基地発表数のいくらかは空港検疫で発覚との報道もなされていました。
それを完全否定する、この記事が事実だとすると、本当に大問題になります。
・検査をしていないから数字に含まない場合
→ 空港検疫で検査せずに空港ロビーという市中に出した大問題
・検査はしているが数字に含まない場合
→ 米国からの人数が更に上がる大問題(現時点でも年末以降は罹患率5%超えの超危険状態です)
以上の大問題が生じてしまいます。
米国の飛び地である米軍基地に直接入る場合に検査しないは仕方がないにしても(彼らは米国本土に帰る時はしっかり検査してましたけど)、民間機で、入国する際には、空港検疫の管理下で検査が行われている「はず」です。
空港検疫結果を見ても、米国から入国の青森、神奈川、山口居住者の人数が異常です。これをどう説明するのかが謎です。
空港検疫を通過した米国軍人の陽性者数について、ぜひ続報を今すぐ出してほしいですね。
そもそも、
・その民間機入国の米国軍人の人数と罹患率がどれだけ高いか、
・どの便で米軍人によるクラスターが起こっていたか、
・米軍人は空港検疫で強制隔離をしているのかどうか、
といったことを取材するのが、報道の仕事ではなのでは????
・「米国の場合、州によって3日か6日間の施設待機が必要だ。」
→(誤報)この点はプチ誤報ともいうべき内容。米国全土が3日間以上の強制隔離になっていたのは期間限定です。
米国全土が3日間以上の強制隔離になったのは12月25日。記事で分析していた期間の半分にも満たない期間です。
記事にするのなら、「現在、米国の場合、州によって3日か6日間の施設待機が必要だが、分析した期間の長い間、米国の多くの州からの入国者に対しては施設待機がなかった。」ぐらいにしないとダメですね。
YAHOO!JAPANのコメントを見ると、データも示さずに、「入国者多いから仕方なくね」「陽性率で比較しなきゃ意味ない」といった、正常化バイアスの魔法にかかった論調が目立ちます。
確かに米国からの入国者は非常に多いです。しかし、その入国者の多さを考慮しても、陽性者が多過ぎるというのがこの年末年始の状況です。米国からの入国者の罹患率は(入国者数ベースよりも罹患率が低く出る検体数ベースにもかかわらず、)年末には既に5%を超えています。
オミクロン株は重症化する可能性が低いようですが、少なくとも人数と罹患率だけで捉えると、(COVID-19の密輸という点において)非常に危険な状態であることには間違いないです。
陽性者数の少ないアフリカ諸国を人種差別的に入国規制を厳しくしている一方で、現地感染状況も空港検疫の結果も悪過ぎで実数も多い米国等の入国規制が軽いのは、事実です。同じようなことは年末の欧州各国からの入国者についても起こっていました。
せっかくそういうことを取り上げるのに、こういうツッコミどころ満載の記事で、正常化バイアスの魔法にかかっていた意見が殺到してしまうようなものは配信止めていただきたいですね。
今回の記事は、タイトルと一段落目の内容から、「アフリカは陽性数少ないのに10日間施設待機、米国は陽性数めっちゃ多いのに隔離が極少。「現在のリスクに応じた合理的な水際対策への転換が問われている。」」が主題の記事かと思っていたのですが、罹患率を用いる様子もないし、米国の施設待機期間の内容もいい加減だし、米軍人に対する対応についてを取り上げるわけでもなく、結局何を言いたかったのでしょうか、、、。
空港検疫については、様々な数字が出ています。
もう少しデータに基づいた分析をしてほしいものですね。
2022年01月17日
この記事へのコメント
コメントを書く