最近SNSで、「#空港検疫をPCRに戻して下さい」というのが流行っているようです。
申し訳ありませんが、空港検疫での検査を抗原定量からPCRに戻した「だけ」では、ウイルス密輸の状況はほとんど何も変わりません。
最も重要なのは、入国者の隔離だからです。
陽性者を捉えられる数は抗原定量よりもPCRの方が優れているようですが、検査をPCRに戻しただけでは、入国者のウイルス密輸はそれほど大きく変わりません。
それは、抗原定量検査でもPCRでも、空港検疫でのすり抜けは必ず出るからです。
昨年夏に流行ったデルタ株では、少なくとも入国者起因の7つの起点で始まり、そのうちの1つを起点に関東などで爆発的拡大したことが分かっています。
要は数件でもすり抜けるとダメなんです。でも、抗原定量でもPCRでもそれぐらいのすり抜けは普通に起こります。
■感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第12報)(国立感染症研究所公式サイト)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/10554-covid19-52.html
多くの人が「空港検疫の検査をPCRにする」→「空港検疫でのすり抜けがなくなる」→「ウイルス密輸がなくなる」との幻想を抱いているようですが、抗原定量検査でもPCRでも空港検疫でのすり抜けは必ず出ます。
例えば、飛行中に同乗者からウイルスをもらった場合、空港検疫で捉えることが困難です。
ではどうすれば良いのか。簡単な話です。
すり抜けは必ず起こるのだから、すり抜ける人から国内の人にウイルスがうつらなければ良いわけです。
仮にすり抜けたとしても、入国者のウイルスが消滅するまで国内の他者と接触しなければ、そこで拡大は防げます。
入国者の隔離徹底こそが、空港検疫の要です。
極端な話をすれば、入国時は検査なしでも構わないわけです(個人的には入国時全員検査は止めてほしくありませんが)。
日本の検疫では、現在14日間(オミクロン株支配地域のみ7日間)が隔離期間です。
ただ、人権と入国者の負担軽減、ホテル不足などを総合的に勘案して、一部の国は指定された期間自宅等での待機(自主隔離)が認められています。
この自主隔離中に国内の他者と接触するのが、ウイルス密輸・国内拡散の最大の原因であるので、そこを改善しなければ、ウイルス密輸の状況はほとんど何も変わりません。
もっとシンプルに「入国後14日間は国内の他者と接触禁止」を意識させるだけの話なのに、なぜか「検査方法が」「隔離ホテルの質が」「人権が」「(2年経っても14日隔離という変化に対応できない経営者や企業が)仕事が回らない」といった感染防止への影響が小さい話ばかりが取り上げられてしまっています。
厚労省は、「「入国後14日間は国内の他者と接触禁止」は初めから言っている。」という立場でしょうから、指摘する人が少ないのは仕方がないのですが。
入国時の検査が抗原定量であろうが、PCRであろうが、入国者の隔離徹底ができなければ意味ありません。いつまでたってもウイルス密輸の最少化は不可能です。
外国人の新規入国禁止も同じ。別に新規入国を禁止しようがしまいが、入国者の隔離徹底ができなければ意味ありません。いつまでたってもウイルス密輸の最少化は不可能です。
「#空港検疫をPCRに戻して下さい」と言うのを流行らせるぐらいなら、「#入国後14日間隔離を徹底して下さい」とか「#入国後14日間他者との接触禁止を徹底して下さい」と言った内容を広めた方が良いです。
そのうえで、検査をPCRに戻すとか、隔離終了時検査を行うとか、感染状況の悪い便は就航禁止ペナルティを課すとか、邦人と外人の陽性率の差を見れば新規入国は禁止とか、2年間の季節変動の結果から3月、4月、7月、8月、12月は邦人一時帰国の制限とか、ホテルは金出せばグレードアップ、さらに隔離守れない人は今後の入国一切禁止などとできれば、より安全・安心・安息ですね。
なお、この年末年始の入国者の状況は、罹患率が3%を超えている=自動的に機内全員濃厚接触者になっているような巨大津波です。現在の空港検疫の状況は、水漏れしているのではなく、ザル自体が流される大津波に遭っているようなものであることは認識する必要があります。
それでも、取水したザビだらけの水を水道水としたいなら、サビを取る薬がない以上、ザビが沈殿するまで時間をおいて待つしかありません。
もう2年経ちました。そろそろ、隔離の重要性について、入国者はもちろん、ウイルス密輸のせいで結局苦しむことになっている国内の人も意識しないと、水際対策をいくら頑張っても頑張っても、いつまでも国内感染は津波の繰り返しになってしまいます。
空港検疫ありがとう
ウイルス流入阻止へ水際で頑張る皆様を応援します
#Light It Blue
ウイルス流入阻止へ水際で頑張る皆様を応援します
#Light It Blue