◇空港検疫 6月1週目4日間検体数(≠入国者数)
6割しかいないと思われる外人が検査対象の9割を占める異様な偏り
入国者は増加の中で黄国の検体数は4割減→検査対象になっていない人はかなり多い?
厚生労働省(厚労省)は6月20日、空港検疫での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査状況の6月1週目(5月29日〜6月4日)分の速報値を発表しました。この数字から行動歴別の入国者数が推定できます。
※6月1日以降、全入国者検査ではなくなりました。今回発表分は、6月1日を跨いだ期間のデータです。この記事では、6月以降の検体数状況を確認しています。
厚労省の速報は、週間の検体数と陽性者数を、日本国籍者、外国籍者別に、滞在国ごとに出した非常に細かいデータです。
■検体数(≠入国者数)激減 6割弱しかいないはずの外人が検査対象の9割
(6月1週目4日間)
検体総数 4,896件(7日間換算で8,568/前週比-70,316):
・邦人 550件(7日間換算で 963/前週比-34,609):
・外人 4,346件(7日間換算で7,606/前週比-35,708):
検査対象者が一気に減りました。邦人は7日間換算にしても千件切り。5月末まで6割弱しかいなかった外人が9割を占めるという異様な偏りになっています。青国が邦人の多い国が多く、黄国や赤国が外人の多い国が多いと思われる結果になっています。ブラック人種差別になっていないか心配です。
それだけ外人ばかりのところは現地感染状況が悪いだけだろう。と言うことなのかもしれませんが、各国から発表される数値を見ると、青国で現地感染状況が悪い国がけっこうある一方で、黄国や赤国でも現地感染が低調なところも多いです。実際に5月末までに空港検疫での陽性事例が多いのに青国だったり、その逆のところも多いです。あまりにも異様な偏り具合です。
基準設定で迷ったときは、邦人が多ければ青側、外人が多ければ赤側といった指定をしていないかは心配なところです。それこそブラック人種差別になってしまうので、、、。
※傾向としては、これまでに入国時に問題を起こしたり(家族接触で多数の市中感染を引き起こしたパキスタン等)、空港検疫爆増したりしたことのある国(ネパールやインド等)は、黄や赤になりやすい印象です。それでも、そういった国でも邦人が多い国(欧米に多い)は青指定になってますね。
■7日間換算で千件超3か国、検査対象外の入国者多い?
(6月1週目4日間)
◆検体数最多 ベトナム:2,218件(7日間換算で3,882/前週比-6,842)=7日間換算で6割強も急減。黄国です。
◆二番目 ネパール:1,145件(7日間換算で2,004/前週比-1,549)=7日間換算で4割強も急減。黄国です。
◆三番目 インド: 592件(7日間換算で1,036/前週比-752)=7日間換算で4割強も急減。黄国です。
◆四番目 パキスタン: 343件(7日間換算で 600/前週比+170)=7日間換算で増加。赤国ですので、入国者全員検査対象です。入国者が増加していることが分かります。
◆五番目 スリランカ: 190件(7日間換算で 333/前週比-245)=7日間換算で4割強も急減。黄国です。
100件以上だったのは上記の5か国のみ、千件超は3か国(前週比-13)でした。
6月1日から提供座席数制限が1万人から2万人に2倍に増加しており、単純に検体数は2倍になるはずです。
しかし、パキスタンだけ見ると、増加しているのは明らかですが、まだ2倍にはなっていない状況です。
一方で一部検査無しの人もいるネパール、インド、スリランカの3か国は4割強減少しています。2倍まではいかなくても入国者が増加している中で、検体数は4割減ですから、検査対象になっていない人がかなりいるとみられます。
ベトナムは6割強の減少ですので、他の国よりも検査対象になっていない人が多いとみられます。
■変化状況
(5月5週目3日間→6月1週目4日間)
<入国者の多い国>
◆米 国
5月5週目3日間:7,316件(7日間換算で17,071)
6月1週目4日間:2件(7日間換算で4)
◆ベトナム
5月5週目3日間:3,891件(7日間換算で9,079)
6月1週目4日間:2,218件(7日間換算で3,882)
◆フィリピン
5月5週目3日間:2,172件(7日間換算で5,068)
6月1週目4日間:4件(7日間換算で7)
◆タ イ
5月5週目3日間:1,619件(7日間換算で3,778)
6月1週目4日間:16件(7日間換算で28)
◆◆中 国
5月5週目3日間:1,515件(7日間換算で3,535)
6月1週目4日間:0件(7日間換算で0)
◆韓 国
5月5週目3日間:1,447件(7日間換算で3,376)
6月1週目4日間:3件(7日間換算で5)
◆シンガポール
5月5週目3日間:1,323件(7日間換算で3,087)
6月1週目4日間:13件(7日間換算で23)
◆ネパール
5月5週目3日間:966件(7日間換算で2,254)
6月1週目4日間:1,145件(7日間換算で2,004)
◆インドネシア
5月5週目3日間:895件(7日間換算で2,088)
6月1週目4日間:0件(7日間換算で0)
◆英 国
5月5週目3日間:731件(7日間換算で1,706)
6月1週目4日間:1件(7日間換算で2)
◆ドイツ
5月5週目3日間:685件(7日間換算で1,598)
6月1週目4日間:5件(7日間換算で9)
◆インド
5月5週目3日間:654件(7日間換算で1,526)
6月1週目4日間:592件(7日間換算で1,036)
◆フランス
5月5週目3日間:641件(7日間換算で1,496)
6月1週目4日間:3件(7日間換算で5)
◆豪 州
5月5週目3日間:496件(7日間換算で1,157)
6月1週目4日間:1件(7日間換算で2)
◆カナダ
5月5週目3日間:462件(7日間換算で1,078)
6月1週目4日間:0件(7日間換算で0)
<デルタ株等で10日間隔離経験国>※インド、インドネシア、ネパールは上述
◆アフガニスタン
5月5週目3日間:12件(7日間換算で28)
6月1週目4日間:2件(7日間換算で4)
◆キルギス
5月5週目3日間:16件(7日間換算で37)
6月1週目4日間:3件(7日間換算で5)
◆ザンビア
5月5週目3日間:6件(7日間換算で14)
6月1週目4日間:0件(7日間換算で0)
◆スリランカ
5月5週目3日間:204件(7日間換算で476)
6月1週目4日間:190件(7日間換算で333)
◆パキスタン
5月5週目3日間:155件(7日間換算で362)
6月1週目4日間:343件(7日間換算で600)
◆バングラデシュ
5月5週目3日間:249件(7日間換算で581)
6月1週目4日間:0件(7日間換算で0)
◆モルディブ
5月5週目3日間:14件(7日間換算で33)
6月1週目4日間:4件(7日間換算で7)
<オミクロン株で10日間隔離経験国>※ザンビアは上述
◆アンゴラ
5月5週目3日間:1件(7日間換算で2)
6月1週目4日間:0件(7日間換算で0)
◆エスワティニ
5月5週目3日間:0件(7日間換算で0)
6月1週目4日間:0件(7日間換算で0)
◆コンゴ民主共和国
5月5週目3日間:2件(7日間換算で5)
6月1週目4日間:2件(7日間換算で4)
◆ジンバブエ
5月5週目3日間:3件(7日間換算で7)
6月1週目4日間:2件(7日間換算で4)
◆ナミビア
5月5週目3日間:0件(7日間換算で0)
6月1週目4日間:1件(7日間換算で2)
◆ボツワナ
5月5週目3日間:1件(7日間換算で2)
6月1週目4日間:1件(7日間換算で2)
◆マラウイ
5月5週目3日間:6件(7日間換算で14)
6月1週目4日間:0件(7日間換算で0)
◆南アフリカ
5月5週目3日間:37件(7日間換算で86)
6月1週目4日間:1件(7日間換算で2)
◆モザンビーク
5月5週目3日間:12件(7日間換算で28)
6月1週目4日間:0件(7日間換算で0)
◆レソト
5月5週目3日間:0件(7日間換算で0)
6月1週目4日間:0件(7日間換算で0)
◆◆◆は6月1日以降の国分けの色を示したものです。(中国は、本土と香港は青、澳門は黄)
それにしてもアフリカは入国者数少ないのに黄国が多いですね。入国者数が少ないということはすり抜けられても国内への影響は少ないのですが、、、。ウイルスを入れない検疫の考え方を優先するなら、入国者の多い国こそ積極的に赤、黄気味に指定すべきもので、この指定一つとってみても、検疫は二の次であることが分かります。
この青黄赤指定は、陽性率で判断しているとか検査の信用度で分類しているとかいった報道もありました。実際には現地感染や空港検疫での感染状況(罹患率)にもあっておらず、検査の信頼度は図りようがないので、基準が不明確です。
上記のような分析をしてみると、細かくは見ていませんが、何となく、日本国籍者の多い国は優先的に青、外国籍者の多い国は優先的に黄や赤としているように見えます。まさか人種で判断してないですよね、、、。
罹患状況などの詳細の分析は別途で記事にします。(更新は遅れる見込みです)
■検疫に関するデータ(厚生労働省公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/border_data.html
2022年06月21日
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