2023年12月07日

舞い上がれ ないGOTO(1日目)

※本旅行記は2023年12月に訪問したものを2024年4月に公開したものです。


■2023.12.07 (自宅)→東京国際→長崎→福江

■長崎乗り継ぎはハラハラ
初日の今日は、朝一便の飛行機で東京国際(羽田)→長崎→福江と移動。午後は福江港発着で奈留島/久賀島に渡るツアーに参加します。
いつものようにバタバタ羽田へ。朝一便は7時15分発なので、ゆったりする余裕もなく、搭乗となりました。朝寝ぼけ眼のまま出てきて、長崎空港まではとにかく爆睡で、飲み物サービスも受けられませんでした。

今回は長崎までと、長崎からで別々の予約。このため、乗り継ぎ時間が35分しかないのに、長崎空港ではいったんチェックインをし直しました。
バタバタで再び保安検査場内へ。検査で並ばなかったから良かったものの、少しハラハラの乗り継ぎでした。

※羽田から九州各地への便は早いところだと6時半前位の出発便があります。しかし、なぜか長崎便は日本航空もソラシドエア(SNA)も7時過ぎの出発です(ANAにいたっては7時台すら無し)。長崎は離島への乗り継ぎ拠点でもあるので、もう少し早い便が欲しいところです。今回はSNAの羽田→長崎便がオリエンタルエアブリッジの長崎→福江便の始発にギリギリ間に合いましたが、、、。乗り継ぎ需要がほぼ無い大分や宮崎と入れ替えて、長崎にもっと早く着けるわけにはいかないのでしょうか、、、。

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長崎では歩いての地上搭乗。
風雨だと最悪も、晴れていれば、
駐機場を横から眺められるのが魅力です。

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今回は北向きの離陸。
離陸後しばらくしたら西海市が見えました。


福江空港には10時半前定刻通りに到着しました。
まずは港に行かねばなりません。航空便完全連動の連絡バスに乗らなくてはならず時間がないので、空港の見学は最終日にすることにして、到着口を出たらすぐにバスに乗り込みました。
飛行機は7〜8割の利用がありましたが、バス利用者は他になし。途中停留所で乗り降りする利用者も誰もいませんでした。2024年問題で消滅しないか心配になりました。

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空港ターミナルを出たら、電気自動車が走る世界遺産の島々だとPRされていました。


ひとまず福江港に到着。
港の中にあるカフェで時間を潰そうと思ったのになんと夏頃に閉店してしまっていて、館内に飲食店はなく、残り1時間半ただ待つだけになってしまいました。
街に出ても良かったですが、ビミョーに距離があるので、港から出る気は起きず。長崎空港でのバタバタ乗り継ぎの際に、夕食用にと大村ずしだけは確保していたので、これをベンチで食べながら待ちました。

※長崎便から、午後イチの船に乗り継ぐ場合、かなり時間が空くので、路線バスで港まで行かず、街中で降りて観光したり、食事したりするのがオススメです。大荷物が少し邪魔くさいですが、観光なら、武家屋敷通り〜城跡ぐらいは回れると思います。

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空港よりも売店数が多い福江港。
チケット売り場も広いです。



■ツアーはなんと独り占め
午後になり、ツアーが始まりました。
長崎発の船舶ツアーにも組み込まれているので、団体行動になるかと覚悟していたのですが、参加者は自分たちだけでした。
礼文に行ったときに大型バスツアーに一組だけというのを見たことがありますが、結構驚き。他にツアー参加者がいないので、観光協会が手配した説明員も完全に独占状態でした。。

※当日の受付方法が案内されていなかったので、どこ行けば良いのか分かりませんでしたが、トイレに行く途中で、メイン入口の正面に机を出して手続きをしていたのを発見できました。
今回のツアーは完全独占状態でしたが、説明員は、ツアー開始時に港に来ていた30人くらいの団体を前日ご案内した、と話していたので、多いときには数十人で団体行動というのは普通にあるようでした。今回説明が完全にマンツーマン。値段の高いツアーでしたが、少人数パターンならおトクな感じでした。


最初は福江島→奈留島へ定期船カーフェリーOCEAN(五島旅客船13:00発奈留経由若松行)での移動。45分の普通の船旅です。
奈留港で船を下りると、現地のタクシーが待っていて、まずは奈留島世界遺産ガイダンスセンターへ。ここで江上天主堂の歴史や特徴などのレクチャーを受けた後、江上天主堂へ向かいました。

江上天主堂は、トンネルを抜けた先にある旧集落跡にありました。この手の生活痕は好物なので、旧集落見学でもあるかと思いましたが、そのようなものはなく、教会を見ただけでした。
江上天主堂を見たあとは、すぐに奈留港へ引き返しました。

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江上天主堂は林の中に佇む木造教会。
湿気対策で足元周囲に換気スペースがある特徴的な建物です。
NOMOっとトルネードした木もありました。



■五輪チャーターで移動
奈留港に着いたものの、この時刻には定期船はないはず。ターミナル内にも人はいません。
おかしいなと思っていたら、ターミナルの中には入らず、岸壁へ。そのまま、そこに停まっていた小さな船に跨いで搭乗となりました。海上タクシーのようにチャーターした小船で久賀島へ向かうようです。2021年には撮影に行きたくても外出自粛要請で行けなかった五輪チャーターをこんなところで体感することが出来ました(苦笑)

これから向かいたい旧五輪教会堂は対岸に見えているものの、久賀島の港(田ノ浦港)は島の反対側。小型船で向かうのだと30分くらいはかかりそうです。
晴れて風もほとんどなく凪いではいたものの、小さな船なので、結構揺れます。酔いやすい体質で、久賀島まで持つか不安な状況なのに、次から次へと小さな紙を使いながら色々と説明されるので、大変でした(なにせマンツーマンなので、空き時間の船の中でも説明尽くしでした)。

船は田ノ浦港に着くのだと思っていたら、一直線に海を渡って旧五輪教会堂のある集落へ直行しました。おかげで奈留島からは15分程で済んだので、吐かずに済みました。

五輪集落の小さな港には防波堤があるだけでした。横付けできる場所に、こちらより大きい別の観光船が着いていたため、防波堤の細長い先端部分しか余っていません。別の船が離れるのを待つのかと思いきや、別の船は移動する気配がありません。このため、船の舳先を防波堤の細長い先端にうま〜く付けてほぼ停止させ、恐々飛び移るように上陸する羽目になりました。

※五輪集落も、江上集落も、各島のメインの港から見ると、ひと山越えた反対側の海沿いにあります。江上集落は現在は奈留島の中心地とトンネルで結ばれていますが、いずれも島の中では中心部から孤立した場所です(江上集落は明治期はキビナゴ漁で栄えていたとのこと)。
このため、古くは海からの方がアクセスが便利だったようで、いずれも小さな港がありました。この小さな港を使い、直接海から上陸するツアーもあると説明がありました。
また、待っていた船は、見学者を降ろしたあと、再び乗せて出航していきました。ということは、この船で来ていた人たちは久賀島は五輪にちょっと上陸したのみ。島全体が世界遺産なのに、非常にもったいないです。


五輪集落は二軒ほどの非常に小さな集落で、旧五輪教会堂は、港の目の前に見えていました。この教会は、すぐ隣に現教会があります。旧教会は宗教施設でなくなり、五島市に寄付されたため、内部の撮影が可能でした。
春には桜と一緒に美しい姿を魅せてくれるようで、観光協会などの紹介でも桜と教会が一緒に写る写真でPRされています。しかし、写真に写る桜は2020年の台風で倒れてしまったとのことでした。

現教会から先は、海沿いの小さな堤防上を歩き、細い歩道を抜けました。海から離れるところから上り坂の山道が始まり、十分ほど歩いたら小さな駐車場にたどりつきました。

※今回ツアーを申し込んだ際、旧五輪教会堂〜駐車場までの坂を歩けることが条件になっていて、うるさいくらい注意書きが表示されていました。申し込んだときは、なんのこっちゃいな、と思っていたのですが、船の乗り降りは飛び移らねばなりませんし、駐車場までの山道はハイキング程度は出来ないと難しい感じでした。世界遺産ということで来たい人は多いと思うのですが、バリアフリーではありません。車椅子での訪問は無理で、杖突きでの歩きも難しいので、要注意です。(バリアフリー化を求められるのが五輪なのになあ、、、)
福江島午前発の久賀島→奈留島の順のツアーの場合、この坂道を下ることになるので少し楽です。ただ、この順番だと、後述の牢屋の窄殉教記念聖堂を一番はじめに見ることになるので、精神的に持つかが分かりません。


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五輪集落は、新旧五輪教会堂と民家が二軒ほどあるだけ。写真がほぼ全てです。
写っていない手前側に昔はもう少し家屋があったようですが、完全に森と化していました。
恋人よ〜と歌いたくなる場所です。



■久賀島の狭さと怖さを体感
駐車場には、これまた地元のタクシーが待っていて、ここからタクシーで、島の反対側にある田ノ浦港へと向かいました。

五輪集落の駐車場からは、山中の小道を進んでいきます。駐車場を出てから数百メートルは「これ、車通れるの?」と思えるぐらいの超極狭の未舗装路。左側は崖の壁が迫り、右側は断崖でした。ガードレールもなく、少しでもハンドル操作誤ると落ちそうな道です。未舗装でバウンドするので、慣れているはずのタクシーもかなり慎重運転でした
その狭路を抜けると、舗装+ガードレールはされているものの、ほぼ1車線の道路に突入。そこから蕨集落までの4キロ強は、待避所以外では離合が無理な道路で、所々待避所○○mという表示が続きました。
ツアーを組まなかった場合、久賀島では、田ノ浦港から約14キロをレンタカーで行き来しようと考えていましたが、自分の運転ではちと自信がない道幅。ツアーにして正解でした。

久賀島の中程で、牢屋の窄殉教記念聖堂を訪問しました。
この聖堂は、宗教弾圧の怖さを思い知らされるところでした。
この聖堂の話は、長崎本土の大浦天主堂の資料館でもイメージ映像が流れていて知ることが出来ます。その展示ですら不気味さと気持ち悪さを感じるものですが、それですらごくごくかわいい展示に思えるほど。現地に来て、現地で説明を聞いたら、その空気感は耐えられるものではありませんでした。

※日本におけるキリスト教弾圧の最後の象徴的施設が牢屋の窄殉教記念聖堂です。非常に悲しい施設ですが、ここで起こった出来事について内容を書くのを躊躇してしまったので、各自で調べて見てください。(グロい内容に注意が必要)
ここで明治維新後に行われた出来事は、欧米列強の猛抗議に繋がったそうです。キリスト教開放に繋がった一方、明治政府も足元を掬われる原因になりそうな出来事だったようで、なんとなく、学校で習った不平等条約の遠因になったのではないかと思えるほどです。
ここで起こったことを知ると、宗教を起因として紛争を始める人々の気持ち悪さと、殉教をはじめとするキリスト教の死生観、日本に古くからある排他性、さらに同じ仏教とかキリスト教の中での宗派間の争い、現代ならウクライナ戦争や中東戦争に繋がる宗教者の自己中感みたいなものをなんとなく感じることができると思います。
(私の宗教観?というんでしょうか、信仰があるとすれば、仏教と神道の混合が一番近いですが、まあ、無宗教なので、このあたりの気持ちは、理解はできてもほとんど納得はできないです。過去から犯している宗教者は大勢いますが、少なくとも宗教を信仰するんなら、第一に守るべきは何はともあれ(人としての精神を蝕む生殺しも含めて)殺生禁止だろがよと思っていますので。その感覚でいるからこそ、ここを見学したときに強烈な恐怖感や違和感、気持ち悪さを感じたのかもしれません。)
この教会自体は比較的新しいものですし、世界遺産ではありません。潜伏の終焉を示すものと言えますが、世界遺産が登録に重視する当時のものは残っていませんし、久賀島は潜伏の終焉ではなく「潜伏キリシタンが共同体を維持するための試み」で登録されており、少し系統が異なることもあり構成資産にはならなかったようです。


最後は、タクシーの運転手が信者だったこともあり、ご厚意で浜脇教会に寄り道してから、田ノ浦港に着きました。
教会の寄り道は、乗る定期船がすぐ来る時刻で、ハラハラしたのですが、教会から港まではすぐそこで、充分に間に合いました。しかも、港にはターミナルなどはなく、浮桟橋があるだけ。船が着いたら、すぐ搭乗でき、ギリギリでも全然大丈夫でした。搭乗したのは、定期船シーガル(木口汽船17:10発福江行)。搭乗時に検札はなく船内精算でしたが、ツアー参加者のため、チケット購入も不要で、あっという間に船内へ入れ、あっという間に出発となりました。

※実は、久賀島では、旧五輪教会堂だけが世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産なのではありません。久賀島は、久賀島全域が世界遺産区域になっていて、旧五輪教会堂とともに、五島市久賀島の文化的景観が構成資産になっています。このため、折紙展望台に登っても、世界遺産を訪れたことになります。逆に教会だけを見ても、世界遺産のごく一部を見たに過ぎません。
奈留島で見てきた江上天主堂も、教会だけでなく、その周辺も世界遺産です。
今回、世界遺産めぐり=教会めぐりだと思っていたのですが、実は長崎・熊本各地に点在する世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、教会単体が登録されているのは大浦天主堂だけ。残りの箇所は、すべて集落単位で登録がなされています。
組まれている様々なツアーも、教会を見て回って、ガイダンスセンター行って終わり、というのが多いです。しかし、この世界遺産は、集落を歩いてみてこそ遺産を満喫したことになる、珍しいものになっています。ぜひ周辺集落とその営みに目を向け、余裕があれば歩いて訪れたい世界遺産です。
とにかく上陸時間が限定されるので、福江港出発前に資料館みたいのがあって勉強したら、現地で資料館行く暇を省けると思うのですが、、、。奈留島で旧江上集落を巡ったり、久賀島で折紙展望台位は寄れる時間が確保できるのではないでしょうか?


福江島までの船は、グラスボートでした。
福江島までは30分ほど。港からは歩いてホテルへ行き、荷物を置いたら街中の飲食店へ。狙っていたステーキハウスが満席だったため、翌日夜の予約だけして、地元名産の海鮮料理がある居酒屋で済ませました。

■今日の教訓!
[長崎]乗継時間はギリギリ←バラバラ予約だと一度出ての乗り継ぎなので、乗り遅れ要注意!
福江港は飲食店無し←食事は街中で
五島の世界遺産は散策しよう←教会だけが遺産じゃないです
ツアーは上手くすれば独り占め←解説聞き放題です
五輪へはバリアあり←車椅子での訪問は不可能です

■実際の旅程
12/07 THR
自   宅05:00(自転車)→05:30横浜駅
横 浜 駅05:30(京急線等)→06:00[東京国際空港]
[東京国際空港]07:15(SNA31便)→09:20[長崎空港]
[長崎空港]09:55(ORC73便)→10:25[福江空港]
[福江空港]10:30(路線バス)→10:41福江港
(ここからツアー参加)
福 江 港13:00(五島旅客船)→13:45奈留港
奈 留 港13:45(タクシー)→14:00奈留島世界遺産ガイダンスセンター
遺産センタ14:15(タクシー)→14:30江上天主堂
江上天主堂14:55(タクシー)→15:10奈留港
奈 留 港15:10(チャーター船)→15:25久賀島五輪港/旧五輪教会堂
旧五輪教会15:50(徒 歩)→16:05五輪駐車場
五輪駐車場16:05(タクシー)→16:20牢屋の窄殉教記念聖堂
牢屋の窄堂16:35(タクシー)→16:45浜脇教会
浜脇教会 17:00(タクシー)→17:05久賀島田ノ浦港
田ノ浦 港17:10(木口汽船)→17:30福江港
(ここまでツアー参加)
福 江 港17:30(徒 歩)→18:00福江市内
SERENDIP HOTEL GOTO 泊


posted by johokotu at 21:00| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆旅行記 | 更新情報をチェックする
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