2024年08月14日

●コラム_熊本はアクセス不便?

【盆休み特別企画】 熊本空港はアクセスが不便なの?

盆休み特別企画〜
ということで、唐突ですが、、、
空港についてコラム的なものを書いてみます。

超絶文章長いですので、お休み使ってゆっくりお読みください〜〜



今年5月、熊本市長が、道路に関する会議に出るため熊本空港を利用したところ渋滞で飛行機に乗り遅れたことが大きな話題になりました。そんな熊本市長が7月には、熊本駅からの福岡空港と熊本空港のアクセスを比較してSNSに「#福岡空港へのアクセスが良すぎる件」等と嘆きを投稿。熊本空港の不便さと渋滞のひどさが強調され、全国に知れ渡りました。

■「熊本市長 大西一史」氏のX 午前9:57 ・ 2024年5月15日の投稿
https://x.com/K_Onishi/status/1790547113090441439
■「熊本市長 大西一史」氏のX 午後2:01 ・ 2024年7月20日の投稿
https://x.com/K_Onishi/status/1814526016590913708

普段から空港を扱う身としては、空港の不便さが注目されるのは大変残念な限りです。
そこで、ポテンシャルを見ると本来不便じゃないのでは?と反論を交えつつ、熊本空港で感じる不便さをみていきます



熊本駅から比較するのは熊本だからこそ不適切

で、熊本空港のアクセスが不便なのか早速見ていきたいのですが、その前に、、、。
熊本市長が、自市内の渋滞や熊本空港アクセスを嘆きたくなるのは分かるのですが、前提として福岡空港との比較方法が少しおかしいことを最初におさえておく必要があります。まずはその話から。

熊本市長は、熊本空港と福岡空港のアクセスについて比較する際の起点を熊本駅としていました
この点は、熊本空港と福岡空港のアクセス比較や、熊本市内の渋滞に対する話をするに当たって、印象操作が過ぎると言わざるを得ません。

熊本駅の立ち位置は、一見すると、東京で言えば東京駅や新宿駅、大阪で言えば難波駅や梅田駅などと同じ、すなわち、その都市の中心部(多くの人が向かうオフィス街・繁華街)の駅のように見えます。
しかし、実はこれがそもそも違います。
熊本は、熊本市役所周辺(熊本城の東側=桜町、通町筋辺り)が中心部で、しかもこの辺りへの超一極集中型です。で、この熊本市の中心部は、熊本駅からは絶妙に離れています。熊本駅からは2キロ程離れており、熊本駅から中心部へは、路面電車やバスで10分〜20分ほどかかります。
熊本駅は、熊本の代表駅ではあるものの、熊本市中心部の駅ではないんです。

しかも、熊本市の市街地やそれに連なる熊本都市圏の市街地は、熊本市中心部から見てどちらかと言えば北側や東側に大きく拡がっています熊本駅は、市中心部から見たら、全く真反対に当たる南西側で、どちらかと言えば市街地の端の方にあります。市街地の北側や東側から熊本駅へ行くのには、中心部を通過するなどして行かねばならず、それなりに時間がかかります。自宅から車で、熊本空港まで行くのと熊本駅まで行くのが、大して変わらないという人も多いでしょう。
大多数の熊本都市圏住民にとって、言ってみれば街外れとも言える熊本駅を起点として比較するのは実態にあまりにも合っていないと言えます。

しかも、熊本のオフィス街・繁華街は、前述の通り超一極集中型です。熊本県内には、熊本市役所周辺以外に中心街と呼べる規模のオフィス街・繁華街はありません。東京や大阪だと、中心街的な街がたくさんあり、どこを起点にすべきか悩むところ。それだったらと代表駅を起点としても違和感ないです。しかし、熊本は、熊本市役所周辺以外に起点にすべき場所はないといっても過言ではないほど一極集中しています。
つまり、比較をするなら、熊本駅ではなく、熊本市のド中心部にある市長のお膝元熊本市役所辺りを起点にしないと、あまりにも不平等です。(しかも、熊本市の人口の重心は、熊本市役所よりも、さらに空港側(東側)に近寄ると思います。)


熊本市中心部起点だと熊本空港の方が断然早い?

そして、熊本市役所を起点にすると、熊本市長の投稿は見え方が大きく変わります。
熊本市役所からだと、熊本空港へは通町筋からリムジンバスに乗れ、公称44分(昼間時間帯、最速の特快便なら39分)で辿り着けます。一方、福岡空港へは、市役所前から路面電車やバスで15分、乗換、新幹線で「最速」35分、乗換、地下鉄で5分。乗換がそれぞれ超素早くわずか5分で行けたとしても65分はかかります。(しかも44分のリムジンバスが1時間3便ほどに対して、65分の新幹線最速列車は1時間に1便程度で昼間時間帯はもっと少ない便数しか運行していません。)

あら、不思議。
熊本市中心部にある熊本市役所を起点に考えると、明らかに熊本空港の方が、早く、しかも楽に着けることが分かります。
これが熊本県庁起点になると、さらに熊本空港に近づくため、熊本空港までは10分ほど短縮の33分、福岡空港へは10分ほど長く最速でも75分と大きな差になってきます。ここまで差が開くと、渋滞に巻き込まれたとしても、事故渋滞とかでない限り、熊本の方が早いでしょう。
なんだか、投稿とずいぶん印象が異なりますね。

※熊本駅から熊本空港へは、JR在来線で向かうことも出来ます。豊肥本線で肥後大津まで行って、無料バスに乗り換えるルートです。所要時間は、肥後大津までの電車最速29分(普通で40分弱)+ほぼ渋滞しないバス15分。乗換5分とすれば、熊本駅から熊本空港まで最速49分ということになります。この場合、ほぼ渋滞につかまらない定時性の高いものになります。
一方、通町筋からは福岡空港行きのバスも発着しています。それだと2時間程かかりますから、断然熊本空港の方が早いです。しかも、このバスも熊本市内の渋滞には巻き込まれます。



中心部が代表駅から離れているから車を使う

そもそも熊本市内の渋滞の原因の一つは、この「市中心部が熊本駅から絶妙に離れていること」にあります
中心部に行きたいときは、鉄道を使ったとしても、熊本駅や上熊本駅、新水前寺駅などから路面電車やバスを乗り継がなくてはなりません。このため、公共交通で中心部に行く際には鉄道が第一選択肢にならず、バスや路面電車が第一になってしまいます。路面電車は道路交通の信号に従いますし、一般電車並のスピードは出せませんから、どちらかと言えばバスと同列です。それだったら、「同じ道路を通る自家用車でも同じじゃね(むしろ電停やバス停に止まらない自家用車の方が早い!)」という発想になってしまうでしょう。
熊本駅回りに中心部があれば「鉄道で行こう!」と言う人も増えると思うのですが、熊本の場合、そうではありません。
都市構造から、猫も杓子もクルマ、クルマになってしまう。それが熊本です。
そういった、言ってみれば車中心で考えてしまう都市構造こそ、渋滞問題を考えるときに切り込まなければならないのに、それを棚に上げて、熊本駅からは福岡空港には新幹線ですぐ行ける!とか、熊本駅から熊本空港へのアクセスは不便だ!とか、普段は二の次になっている駅を起点に考えて、熊本市の渋滞問題や空港アクセス比較に切り込むのは、(熊本市長だからこそ、より)あまりにもナンセンスです。

長々と書きましたが、本当に熊本空港のアクセスが不便なのかは、よく考える必要があることが分かりますでしょうか。

でも、鉄道が時間に正確な日本の場合、各都市の代表駅を起点に考えることが多いです。今回の熊本市長の投稿も、そんな発想が根底にあるのかもしれません。多くの日本人は各地方都市の都市構造がどうなっているかは知りませんから、代表駅を起点にしてしまうのは仕方がないですが、熊本の場合は、それは実態に合っておらず、そのために、熊本空港の印象が悪くなるのはなんとも残念ですね。



熊本空港は近い、でも時間がかかる

まずは熊本空港のアクセスが、福岡空港へのアクセスと比較してもそれほど悪くないことが分かりました。
しかし、実は、熊本空港のアクセスは良いとも言えません。続いてはそれを考えていきます。

熊本市長の投稿では福岡空港が便利すぎることが強調されていました。で、相対的に熊本空港が不便だと言いたげな投稿になっていました。
前述のようによくよく考えてみると、熊本空港へのアクセスはそれほど悪くないのですが、なぜか悪く(不便に)感じてしまいます。その原因はズバリ、「近いはずの熊本空港に行くのに時間がかかりすぎるうえに渋滞で遅れる」からです。
熊本市長が投稿で最も言いたかったところはおそらくこの点で、実際に市長の投稿のハッシュタグを見ると、定時性についても言及しています。

実は熊本空港は遠くない

熊本空港利用者は、「熊本市中心部から遠くて不便」と思い込んでいる人が結構多いと思うのですが、実は熊本空港は熊本市中心部から決して「遠く」はないです。

熊本空港は昭和40年代に郊外へ移転した空港の一つで、確かに熊本市中心部からは離れてしまいました。しかし、熊本市役所と空港(ターミナル)間は実は15キロしか離れていません(前述の通り人口の重心からならもっと近い)。

これ、大した距離じゃないです。

ウソつけ!と言うなら、よく調べてみてください。
熊本と同じように郊外移転した空港だと、中心部からの距離は、広島が40キロ、大分が29キロ(陸路だと65キロ)、鹿児島が29キロも離れています。(岡山は12キロ、高松は14キロほど)
また、成田国際空港と比べて近い近いともてはやされている東京国際空港(羽田空港、第一ターミナル)までは、銀座の時計塔前からは14キロ、東京都庁からは18キロです。大阪国際空港(伊丹空港)だって、梅田までなら11キロですが、なんばまでだと15キロです。
仙台も、仙台駅や大町あたりから15キロですね。
福岡空港は博多駅まで2.5キロ、天神(福岡市役所)まで4.5キロですから、それに比べれば確かに遠いです。しかし、熊本市中心部〜熊本空港の距離は、便利と言われる他の空港ともほとんど遜色無いです。


アクセスバスが時間かかりすぎ

熊本空港の課題は、熊本市中心部から「遠い」のではなく、熊本市中心部から「距離の割に時間がかかる」ことにあります。
15キロは時速60キロで走れば15分で着ける距離。一般道路でも平均時速は普通は30キロ程度でしょうから、30分で走破できるくらいの距離です。前述の仙台空港の場合、仙台駅-仙台空港間は直線距離約15キロに対して、鉄道距離17.5キロで各駅停車25分・快速17分です。

でも、熊本空港-熊本市中心部間には、実質的に一般道を走るリムジンバスしかなく、リムジンバスでの熊本空港までの所要時間は、直線距離だと15キロの通町筋から約44分、同じく17キロ離れている熊本駅から1時間以上です。ちょっと時間がかかりすぎです。

熊本が残念なのは、この、リムジンバスが使う一般道が膨らんで遠回りしているのと、鉄道が空港を避けるように遠回りしていること、があります。
遠回りするせいで距離が伸びるため、より時間がかかってしまいます。

熊本市中心部から見ると、空港は東北東方面にありますが、リムジンバスが使う道路は、一度南東方向へ向かい、グルリと大回りします。このため、熊本市中心部〜熊本空港間は直線距離では15キロなのに、17キロに延びています。
また、熊本駅から熊本空港までは直線で結べば17キロですが、鉄道利用の場合は大きくS字を描くルートを進行するため、最寄駅の肥後大津駅までなんと22.6キロもあります。そこから空港まではさらに直線で約5キロで、空港への距離が長くなっています。
こうなっているのは、地形(台地や河川)の関係から仕方がないのですが、なんとも残念な限りです。

そんな時間のかかるリムジンバス。
九州の他空港だと、鹿児島は約29キロで約50分、大分が約65キロで約1時間ですから、熊本のバスの遅さはあまりにも異常です。で、定刻でも時間がかかりすぎなのに、一般道を通ることから渋滞のせいでこの公称時間でも到達できずに飛行機に乗り遅れてしまうのだから、もはや悲劇です。

ただこういった渋滞は、例えば羽田空港なら、高速を通っても日常茶飯事でしょう。銀座から車で羽田へ行くとき、渋滞に巻き込まれたら1時間以上かかることは結構あります。熊本と大差ありません。
でも、そこまで問題視されないのは、羽田は、定時性の高い鉄道でアクセスできるからです。
羽田だと、渋滞のことを考えると、飛行機に乗る前のアクセスではバスや車は避けがち。コロナ以降車で来る人が増えたとは言え、車の時は、渋滞を考慮して出来るだけ早く来るなど自衛するのが普通です。
熊本の場合、最寄駅まで遠くそこまでの鉄道は超遠回り。しかも、最終的には自動車交通以外にアクセス手段がなく、バスを利用せざるを得ないという点が致命傷になっています。



アクセス鉄道計画は中途半端

これら空港アクセスで、距離の割に時間がかかる課題を解決するため、熊本空港アクセス鉄道が計画されていますところが、熊本市中心部から直線的に空港を結ぶのではなく、全く向きがおかしい空港-肥後大津間です。
建設が予定されているこの区間は直線距離で約5キロ。中心部からに比べれば、3分の1の距離を整備するだけで済みます。地域の産業拠点になると期待されている世界的半導体メーカーTSMCの工場がこちら側にあるため、それらのアクセス向上には役立ちますが、熊本市中心部からで見ると、超大回りになるため、正直整備するだけ無駄です。
通町筋から考えると、新水前寺まで路面電車で11分。新水前寺-肥後大津間が特急ですら24分。そこから空港まで5分で走破しても乗換無計上で40分ほどかかります。直線だと15キロなのに、鉄道で40分なんて時間がかかりすぎ。乗換無しのバスとそれほど所要時間が変わらないので、鉄道へのシフトはなかなか難しいように感じます。

まあ、「今後、肥後大津方面(空港の北側付近)を熊本の中心地とし、熊本城下を見捨てて、県庁も移転しますよ。」とか言うなら、こういったルートの鉄道でも構わないですが、、、。大空港構想ではそっち方面だけを見て夢の都市開発が構想されていますから、そういった声を挙げても全く問題ないです。
しかし、流石に熊本城下を捨てるまでは全然決断できていませんし、人口減少に拍車がかかる熊本市長は口が裂けてもそんなことは言えないですよね。

また、鉄軌道関係での構想としては、路面電車を健軍町から空港まで延伸させる案なども出ています。しかし、これも、現リムジンバス経路よりも大回りのルートになります。LRT化して延伸したとしても、現リムジンバスより時間短縮にはならないでしょう。


新しく造るのは道路ばかりで鉄道は恣意的に外されている?

空港アクセスの鉄軌道の計画は、なぜか、そういった大回りルートばかりです。中心部からの短絡ルートも提案に上がったことはあるにはあるのですが、なぜかモノレールやBRTで整備するといったものばかりで、比較のスタートから(言ってみたら恣意的に)短絡鉄道整備は外されています。
仮に通町筋から一直線の鉄道があったなら15キロですから、ノンストップなら所要時間は15分ほどになるはずです。市街地に造ることになるので、多少クネクネしてもせいぜい20キロ=20分程度でしょう。途中駅を造ったとしても、20キロならかかっても30分といったところでしょうか。
大正や昭和初期じゃあるまいし、20キロくらい、サクッと敷設できるでしょ。なんで、こういう鉄道を計画しないの?と言うのが疑問なところです。

実はこれと同じような構想があるにはあります。熊本県と熊本市が進めている「10分-20分構想」というものです
熊本市中心部から九州自動車道まで10分、さらにそこから空港まで10分(つまり中心部から空港まで20分)で行ける直線的短絡ルートを整備するという意欲的なものです。
熊本市長の投稿でも「やはり空港まで都心部から20分という都市高速を何としても早期実現しなければと強く認識させられた」と触れられています。

ただ、お笑いなのが、渋滞に巻き込まれた市長自身が進めているこの構想が、渋滞が結局発生するかもしれない道路整備(高規格道路整備)だと言うこと。渋滞に対して文句を垂れるのに、なぜかその解決策は道路のみ。そして、道路だったら短絡ルートを整備するけど、鉄道などその他の交通機関は短絡ルートを構想すらしないという、なんだか不思議なものになっています。
ここも結局クルマかよ、、、。

今回、熊本市長の投稿で比較で使われた福岡空港へのアクセス交通は新幹線でした。
その方が便利と嘆くぐらいなら、「熊本駅〜熊本空港間に新幹線引きます!」と言うぐらいでないと首長としては主張が薄すぎるのではないでしょうか。
他国では高速鉄道が空港に乗り入れるのはよくありますし、お隣の佐賀県は新幹線を佐賀空港経由にしろと要請しているなど前例もありますから、おかしな主張ではないです。
熊本空港付近は、熊本から大分を通って四国へ繋ぐ新幹線構想の通り道ですから、長崎みたいに、熊本-空港間のブツ切り新幹線を先行で整備します!と宣言しても良いはずですが、そんな話は一切出てきません。

東京から八王子へJR中央線を計画したときみたいに、熊本市役所から空港まで定規を当てて一直線を引いてみてください。九州自動車道交点付近から中心部側は、熊本県道の熊本空港線や旧空港を通る国体道路がほぼ並走しています。一方、九州自動車道交点付近から空港側は、市街化しておらず、買収の難易度は建設中の西バイパスや中九州道と同等に比較的容易に見えます。
10分-20分構想で高規格道路を作るなら、そういったルートになりそうですが、どうせ高規格道路で工事するのなら、東北新幹線を造ったときの埼京線のように、同時に付随して鉄道を整備してしまえば良いだけです。


空港方面だけは道路しかない

熊本都市圏の市街地は、特に北方面や東方面に拡がっていることを書きました。これらの地域には多くで鉄道が延びています。(西側は山があるので市街化していません。)
このうち北方面(植木や合志方面)は鹿児島本線と熊本電鉄、北東方面は豊肥本線(菊陽や大津方面)、南東方面は路面電車(健軍方面=そのまま延ばせば益城方面)が通っています。市街があまり拡がっていない南西側も、南側は鹿児島本線(宇土方面)が延び、豊肥本線(南熊本エリア)が横断的にカバーしています。
ところが、なぜか、熊本市中心部と熊本空港を結ぶ方向=旧空港のある東方面(空港方面)だけには、ポッカリと穴が開いたように鉄軌道がありません

つまり、東方面に当たる旧空港付近の住宅地は、熊本市内の中で、鉄軌道利用が最も不便な場所になっています。この地区から熊本市中心部へ向かうなら、車やバスに頼らざるを得ません。
また、この地域は、熊本市中心部と熊本空港のちょうど中間に位置しているのに、熊本空港リムジンバスを利用するためには、2〜3キロほど移動が必要です。例えば旧空港跡地の日赤病院からは東町中央まで2キロ移動しないと熊本空港リムジンバスに乗れません。地元民なら空港へは車で直接向かってしまうでしょう。
ここに鉄道が通れば、地域の利便性向上、熊本空港アクセス向上、自家用車減少による渋滞減少と、一石三鳥な気がするのですが、、、。
※ちなみに、旧空港付近の少し西側に住んでいるなら、福岡空港行きのバス停が近く、なんと、そっちの方が便利なエリアもあるほどです。

肥後大津に繋ぐことが決まったアクセス鉄道は、整備検討の際にいくつかの案が比較検討されています。ところが、その検討では、中心部からの直行経路はなく、JR豊肥本線を活用して、そこにどう接続するかで検討されました。
肥後大津で繋ぐ案は約5キロ。このほかに7キロほどの原水で繋ぐ案、9キロほどの三里木で繋ぐ案が出ていました(クネクネ曲がりながらのルートなので、各方面+1〜2キロ位は必要)。しかし、空港から旧空港付近を通って中心部にまっすぐ進んだところにある東海学園前駅〜水前寺駅付近へ繋ぐ案は出てきもしませんでした
距離が長いから検討しないのは当たり前だろ!とつっこみがありそうですが、空港〜東海学園前間は11キロほど。整備する距離は三里木案とそれほど距離は変わりません。
で、東海学園前まで整備するのなら、そこからあと4キロほどで熊本市中心部にも達することができます。JRに乗り入れなくても、あと少し延伸するだけで中心部に行ける鉄道を整備できるわけです。

決定した肥後大津案の場合は、空港アクセスの需要しか取り込めません。しかも、アクセス鉄道区間は畑地帯ですから、その区間だけを見たら、地元利用はほとんど期待できず、アクセス鉄道単体の採算は最悪でしょう。
一方、東海学園前で繋ぐルート(直線的に熊本市中心部へ向かうルート)の場合、空港-TSMC工場方面の需要は取り込めませんが、旧空港付近の住宅地〜中心部間の通勤需要などが取り込めます。毎日利用する人が多くなるのでアクセス鉄道単体で採算取れる可能性は高くなります

検討された三案はルート上がほぼ畑地帯なのに対して、東海学園前に繋ぐ場合はルートの半分(九州自動車道交点付近から中心部側)は完全に宅地化しています。このため、道路に沿った高架鉄道や地下鉄などでしか整備が難しく、整備費用がかかるという課題は出てきます。しかし、国体道路が並走していて土地買収はほぼしなくて良い(=その分買収費用はマイナス)ですし、その国体道路は中央分離帯も両側歩道もある四車線道路ですから、トンネルでも高架橋でも、工事はし易いはずです。

そもそも、検討された三案は熊本市以外の需要ばかりに有利で、熊本市にうまみはほとんどありません。東海学園前に繋ぐ方が熊本市的には美味しいはずですが、熊本市長や熊本市の担当者がそういう計画を提案しなかったのは不思議ですね。
あくまでつぶやきなので便所の落書きと揶揄されることもあるSNSに、福岡空港なら鉄道アクセスで便利!なんて、つぶやいている暇があるんなら、自分のとこに鉄道引きましょうよ、、、。

ちなみに、この地域が鉄道もないのに市街化したのは、成長著しい昭和後期に旧空港跡地という広い土地があったからです。
空港跡地が空いたときに、空港アクセス鉄道を引いておけば良かったのに、、、。国体道路という立派な道路は造れましたが、その後は宅地化だけが急速進行し、渋滞が出来ただけでした(急速に宅地化したせいで、たくさんあった掩体壕が一気に消えました)。


道路なら整備できるのに鉄道は無理という怪奇

さて、鉄道、鉄道とばかり書いてきました。地方都市の一部地域のことだけ考えて鉄道を整備したところで、採算取れるわけないだろという方も多いと思います。
でも、現在のリムジンバスを通すとき、費用対効果(当然ながら道路建設費と維持費込みの費用での)なんて検証していますか?バス会社が自分とこの費用(人件費や車の維持費)と運賃収入を比較するだけで、費用に道路の建設費・維持費なんて含まれないでしょう。
10分-20分構想の高規格道路で、鉄道のような単独の費用対効果を検証していますか?せいぜい渋滞が解消するとか、経済効果○○などと、まわりの波及効果が強調されるだけです。
道路は単独採算では完全赤字なので、そもそも単独での費用対効果は検討すらされませんが、鉄道だと、単独での採算の話が出てきて費用がかかりすぎるとなるのはとても不思議です。

熊本市の人口は70万人ほどです。これ、フィンランドの首都であるヘルシンキ市と同じくらいです。そして、ヘルシンキも市中心部から空港まで15キロほど離れています。
首都かそうでないかの違いはあるものの、後者は空港鉄道を環状線で整備できています。熊本も、肥後大津〜空港と、中心部〜空港直線経路で、環状線的にすれば良いのでは?まで書くと、書き過ぎかもしれませんが、首長なら、そのぐらいブチ上げても悪くないです。
肝心の空港利用者数(年間)は、熊本が300万人ほど、ヘルシンキは1,500万人ほど(乗り継ぎ除くと1,300万人ほど)ですけどね、、、。

こんな感じで少し発想を膨らませられないのでしょうか。熊本みたいな地方都市じゃ、利用者も少なく鉄道は整備できないというのは先入観に過ぎません。そもそも道路なら整備できるのに、鉄道は整備できないというのは、発想としておかしいです。
これも、普段鉄道を使うような都市構造になっていないから、鉄道を使わないために、鉄道を活用するという発想ができないのかもしれませんね。



阿蘇ならOKのヘリは?

まあ、鉄道整備が、建設費や維持費が高くて難しいというのなら、道路上に空飛ぶクルマのルートを構築されたらいかがでしょうか
道路上や河川上を飛ばせば、土地買収もほぼ不要なので、買収の手間が省けますし、建設費もほとんどかかりません。道路より断然安上がりです。そもそも空飛ぶクルマではなく、有人ヘリなら今すぐ出来ますし、、、
やや遠回りではあるものの、今のリムジンバスルートの道の上なら、熊本空港から熊本市役所までは17キロです。ヘリは時速200キロ弱なので10分かからず結べます。
中心部の発着場が必要ですが、幸い中心部付近には白川が流れていて河川敷への整備は簡単そうですし、熊本城や桜町にも広い広場があって設置できる場所は結構あるように見えます。

熊本空港に近い阿蘇などでは遊覧飛行のヘリがたくさん飛んでいます。お遊びが出来るなら、もっと社会的に重要な公共交通の二地点間輸送は簡単に出来るはず。と言うか、積極的に推進すべきものでしょう。
お遊びの遊覧では、最寄駅からの迎車付でも10分1〜2万円ほどです。熊本空港-熊本市役所間は10分以下の飛行ですから、高くても1万円くらいには出来るでしょう。現在、熊本-熊本空港間は肥後大津経由の鉄道利用なら480円、リムジンバスなら1,000円。それに対して5,490円かかる新幹線は比較対象として値段をガン無視して「便利だ便利だ」と利用できるのですから、1万円くらいになったところで、普通にアクセスに使う人もたくさんいるのではないでしょうか

※ちなみに、熊本-福岡空港間は、熊本-熊本空港間と同じくらいの値段しか出せないなら、せいぜい高速バス(2,500円)や在来線(2,430円)の利用になります。この場合、二時間以上かかりますから、そもそも福岡空港行くのも結構時間かかります。そこは強く強く強調しておきます。

でも、そんな構想も、出てきもしません。

アクセスについて、チマチマ大津と鉄道を結んで、はい終わり、ではなく、上記くらいの計画をしないと、中途半端に無駄になってしまうのではないでしょうか。
隣県の大分は、空港アクセスに再びホーバークラフトを活用しようとしています。これは、珍しいアクセスで注目度を上げるのも目的の一つです。
熊本もこれに対抗して、日本で初めて空飛ぶクルマで空港アクセスを導入します!、なんてやれば良いわけですが、そんな感じの新しい発想は皆無。福岡への新幹線と競争するなら、それ位力入れるべきでしょうが、発想が本当に貧弱です。

熊本内は何でも車のみで話をするばかりで、他の交通整備が蚊帳の外なのは不思議な限りです。従前の発想しかない、しかも車の渋滞のことしか発想することもできないのはとても残念ですね。
車だから渋滞するのにね、、、



課題はアクセスよりも航空便では?

色々熊本空港のアクセスを考えてみると、意外とアクセスが貧弱=ポテンシャルの割に不便だな、という印象です。
しかし、熊本空港が不便と感じるのは、アクセスだけが原因ではありません。そもそも就航する航空便にこそ原因があります。

福岡空港と博多駅の近接具合は、熊本空港にとっては、非常に残念な状況です。
ただ、「新幹線を使ったアクセスが便利だから使う」の主張が正しいかは疑問が残ります。

なぜなら、もしも上記の主張が正しいのなら、東海道新幹線の静岡空港駅があれば、横浜や名古屋(少なくとも、熊本-博多間と同じくらいの距離以下の小田原〜熱海〜三島〜新富士〜静岡〜掛川〜浜松〜豊橋〜三河安城辺り)に住む多くの人が、静岡空港を最優先で利用したくなるはずだからです。
でも、実際には、静岡空港駅なんて需要がないという予測がされ、新幹線通したって静岡空港なんて誰も利用しねーよ、バーカ。となぜか当たり前のように言われてしまっています。
熊本→福岡空港は新幹線で客を奪われるのに、全く同じ構図である神奈川→静岡空港や愛知→静岡空港だと、客は奪われないらしいのです。

なぜでしょうか。

それは、新幹線を使ってアクセスする客が利用する静岡の競合相手が羽田空港や中部国際空港であり、路線数・便数が全く勝てていないからです。
熊本も、福岡空港に路線数・便数が全く太刀打ちできていません


福岡空港のネットワークの多様さや便数の多さが一番の原因

熊本空港が新幹線で福岡空港に利用を奪われているのは、アクセスが最大の原因ではなく、この、福岡空港のネットワークの多様さや便数の多さが一番効いています

熊本市長が「福岡空港へのアクセスが良すぎる」と嘆いたのは、熊本から福井へ移動する際に体験したものでした。この時、熊本市長は、福井へ小松飛行場経由で移動していますが、小松へは、西日本本土からは福岡からしか直行便がないため、福岡空港を利用したようです。
しかし、熊本から小松へ直行便があれば、熊本空港を利用して福岡空港の利便性に気が付かず、違った印象になったかもしれません。そもそも、熊本の首長として熊本空港の利用を第一に考えるのなら、熊本→福岡→小松ではなく、熊本→羽田→小松というルートだって使えたはずですが、それを使っていません。熊本市長には、空港アクセスの渋滞を嘆く前に、熊本空港のネットワークの貧弱さを嘆けよと言いたいですね。
結局、熊本空港を使ってもらえない問題点は、アクセスが云々よりも、航空ネットワークが福岡より著しく小さいことにあると考えられます。

例えば、那覇線は、熊本発着は1日1往復のみしかありません。それに対して福岡発着は1日22往復あり、よりどりみどりです。福岡なら、格安で行きたければLCCも選べますし、朝イチ便や最終便を活用すれば沖縄滞在時間を熊本発着便での往復よりかなり長くできます(だいたい市街地で騒音問題を抱える福岡の方が運用時間が長い時点でおかしな話なのですが、、、)。福岡利用の方が断然便利ですし、運賃的にも新幹線往復を足しても福岡の方が有利でしょう。
22往復も運航せよ!とは言いませんが、熊本空港を利用させたいのなら、少なくとも朝昼晩の1日3往復くらいはしないとそもそも勝負になりません

こんな感じで、熊本空港の就航路線では、ダイヤが福岡発着に著しく劣る路線がいくつかあります。前述の那覇線のほかにも成田国際線、ソウル線などが当てはまります。(中部国際線も。ただし、名古屋(小牧)線とあわせると、ちょうど良い勝負の便数?)
福岡都市圏は260万人ほど、熊本都市圏は110万人ほどですから、正直、熊本には、福岡の3分の1かそれより少し多めの便数が飛んでいてもおかしくありません。後背人口や、現状福岡空港に利用者が流れていることを考えれば、例えば那覇線やソウル線は福岡発着が20往復以上維持できているのですから、熊本で3往復くらいは余裕で維持できるでしょう。(単純計算で6、7往復したって維持できるはず)


2往復以上飛ばさないと需要はついてこない

航空便は各路線の便が少ないので、使いたい時間帯に便があるかはとても大切になってきます。ビジネスなら現地で昼に会議できる時間が取れるか、旅行なら現地滞在時間が長く出来るかが、利用を増やすポイントになります。
そうなると、2往復で朝晩、3往復で朝昼晩、、、に運航するのが最も効果を発揮出来ます

実は、熊本の既存路線は、この点が充分すぎるほど考慮されています。
成田国際線と中部国際線は2往復ですが朝晩の運航。3往復の名古屋線も朝昼晩です。羽田線や伊丹線も朝晩はガッチリ抑えられています。
そもそもの航空便は、こんな感じで自然と使いやすくなっていくわけです。

しかし、これが1往復にとどまると、利便性が急激に下がります
1往復だと日帰りは難しくなります。で、一泊2日で向かうにしても、現地を楽しむ時間が、昼運航なら初日と二日目が半日ずつにブツ切りになりがち。朝運航や夜運航に偏っていると、いずれか一日はほぼ現地にいられなくなります。
せっかく休みを取って旅行に行っても、これでは無駄が多く、当然利用意向がグッと減ってしまうでしょう。
例えば、山形-羽田線は、昼1往復から朝晩2往復にしたら、利用者が二倍どころか三倍になりました。朝晩2往復と1往復の間には、便数の差以上の利便性の高い壁があるわけです。

先に挙げた熊本-那覇線は、朝10時台熊本発、夜17時台熊本着で、熊本からの利用は比較的便利です。それでも、福岡-那覇線は、福岡発は7時台、福岡着は21時台がありますから、沖縄の現地滞在時間では太刀打ち出来ないです。(7時間も違う!)
熊本-天草線は昼時間帯で東日本からの乗り継ぎ利用はしづらい状況(具体的な話は過去に旅行記(リンク)でも書いています。)。運休した熊本-静岡線も夕〜夜運航で偏っていましたから、利用維持は難しかったのではないでしょうか。静岡線は今夏盆期間のみ限定運航されますが、熊本発が夕、熊本着が朝で、静岡側からの利用を呼び込むダイヤにしていて、試行錯誤しているように見えます。

熊本空港は民間委託されて新規路線就航にこだわっているようです。しかし、路線を新規開拓したとて、1往復では需要喚起は難しいです。では2往復以上飛ばそうにも、特に新規路線は需要が未知数ですから、いきなり2往復以上を飛ばすのは難しいです。
福岡発着便をみると、新千歳が1日8往復、仙台が1日7往復ですから、この2路線は熊本発着を開設しても良さそうですが、2往復出来るかは微妙なところです。
それだったら、福岡で実績のある既存路線の成田線や那覇線、ソウル線を増便させる方が、実現させやすく、かつ、効果は出ると言えます。単純に福岡の3分の1程度運航するなら、成田が+3、那覇が+6、ソウルが+6できますから、それだけで+15往復できます。新千歳と仙台で+4するより遙かに効果がありそうです。
伊丹線のように熊本の方が便数が多い路線もあるので、福岡での実績がある路線なら、ハードルはそれほど高くはないのではないでしょうか。
そういうところから少しずつ便数を増やし、空港利用を意識付かせ、路線増にも繋がれば良いですね。

下記は福岡と熊本を便数のみで比較したものです。機材(一機当たりの提供座席数)が異なるので、便数だけで比較するのは少しセンスがないところもありますが、軽く見てみます。

熊本発着は、新千歳線、仙台線、成田線、中部線、那覇線は増便/新設が容易そうです。
また、新潟線、小松線、静岡線、関空線、松山線は1往復ぐらいは就航出来そうですが、それだと前述の通り需要喚起が難しいので、航空会社は就航に二の足を踏むのではないでしょうか。
※福岡発着便数が多くても、宮崎線や離島路線は地理的な関係上、熊本発着の設定は難しいと思われます。

福岡空港と熊本空港の発着便数比較(国際線は抜粋/2024年7月)
千歳線 福岡:熊本=8:0
花巻線 福岡:熊本=1:0
仙台線 福岡:熊本=7:0
茨城線 福岡:熊本=1:0
成田線 福岡:熊本=15:2
羽田線 福岡:熊本=56:18
新潟線 福岡:熊本=3:0
松本線 福岡:熊本=2:0
小松線 福岡:熊本=4:0
静岡線 福岡:熊本=4:0*
中部線 福岡:熊本=12:2
小牧線 福岡:熊本=5:3
伊丹線 福岡:熊本=9:11
関空線 福岡:熊本=4:0
出雲線 福岡:熊本=2:0
徳島線 福岡:熊本=2:0
高知線 福岡:熊本=2:0
松山線 福岡:熊本=4:0
対馬線 福岡:熊本=5:0
福江線 福岡:熊本=3:0
天草線 福岡:熊本=3:1
宮崎線 福岡:熊本=13:0
鹿児島線 福岡:熊本=1:0
屋久島線 福岡:熊本=1:0
奄美線 福岡:熊本=1:0
那覇線 福岡:熊本=22:1
下地島線 福岡:熊本=1:0
石垣線 福岡:熊本=1:0
ソウル線 福岡:熊本=23:1
台北線 福岡:熊本=7:2




まずは福岡への意識がある?

さらに、熊本は、意外と利用が付いてきていないのが気になるところ。
例えば、成田線は、福岡発着だと15往復あるのに、熊本発着は2往復で需要が止まっているのか、なかなか3往復以上に増便されません。

熊本でなかなか客が集まらないのは、九州はまずは福岡空港が便利と思い込んでいる人が結構多いことも一因と考えられます。
先の熊本市長も、熊本→羽田→小松を利用するより、熊本→福岡→小松を選んでるくらいですから。地元民ですらこれですから、九州へ向かう人は、まず福岡、という意識になるのも仕方がないでしょうか。

この感覚は北海道が分かりやすいです。北海道の場合、新千歳への一極集中がかなり顕著で、新千歳以外の空港の便数が少なすぎる問題があります。あまりに新千歳に便が集中しているので、とにかくまずは新千歳へという流れになっています。(あるいは、とにかくまずは新千歳へという意識だから、新千歳に便が集中する?)
例えば、網走とか知床に観光に行くのに、飛行機は新千歳に降り立ち、そこから長距離バスで移動させる、みたいなアホみたいなツアーがたくさんあります。直接女満別に飛行機で飛んでいった方がお縄な人も逃げられないと思うのですが、、、。

九州の場合、各県の自県一番意識が強いので、福岡への一極集中は北海道の新千歳よりは薄くはなるものの、それでも新千歳と同じように、とりあえず福岡に降り立つ、みたいな意識の人は多いのではないでしょうか。
中国地方以東の多くの日本人にとっては、「九州の入口は福岡(北九州門司)」でしょう。そんな一番手前にある「らしい」福岡が九州一の大都市であるなら、どうしても「九州行くならまずは福岡へ」となってしまうでしょう。

航空運賃の安さなどからまずは福岡へとなってしまうことも多いです。
レンタカーの値段はどこの空港でも変わらないので、例えば空港からレンタカーを借りて九州を一周するとしたとき、どこの空港でIN/OUTになっても条件に大差はありません。ところが福岡なら様々な航空会社が飛んでいるので競争も激しく、航空運賃は福岡便が一番値段が安いことが多いです。このため、私も、九州の空港を巡る際は、ダイヤとかアクセスとかを意識しなくても福岡IN/OUTになることが多いですね。(ここでダイヤが現地滞在時間が長くなる差が出れば福岡の圧勝です)

そういった点を改善することも大事かもしれません。
佐賀空港では、レンタカー代に補助を出し、まずは佐賀へという意識付けをして利用増加を狙っていたりしています。

熊本は九州の中心にあって、九州島内どの方面にも行きやすいです。長崎や鹿児島のように離島乗り継ぎで稼げないのは残念ですが、少しくらい強気に便数を設定しても悪くないはずです。

九州では、大正時代、大分県の別府が「別府は九州の玄関口」という意識付けをし、ブランドを確立した良い事例があります。関門が便利になって、今は、九州の入口は別府ではなく福岡北九州となっていますが、、、。
多くの日本人の意識では「九州の入口は福岡」=「熊本は福岡より奥」という意識かもしれません。しかし、実は、羽田や伊丹から飛行機で飛べば、福岡までと熊本までは大して変わりません。なんと、空から行けば、熊本は福岡より奥ではないんです。むしろ、「福岡は九州の北の端、熊本は九州の真ん中」です。これは、航空路と空港だからこそ実現できることです。
新幹線や車、船で九州に行こうとする人は仕方がないですが、航空を使って空港を利用するのなら、「九州行くならまず福岡へ」という意識を、少しでも「九州行くならまず真ん中の熊本へ」と、変えられると良いですね。



なんだか、熊本空港が不遇な扱いを受けてるなあー、と思ったら、話がだいぶ拡がってしまいました。
熊本空港のアクセスはもちろん改善が必要ですが、それ以上に路線自体を充実させることも大切です。なんとか少しでも熊本空港のイメージが上がってくると良いですね。

ということで、いつもの旅行記のあとがきのように薄っぺらい内容で、突然のコラムを〆たいと思います。



ラベル:熊本空港
posted by johokotu at 03:00| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | ◆その他の話題 | 更新情報をチェックする
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