●コラム 熊本空港アクセス鉄道駅設置位置で賛否両論ここ半月ほど、昨年アップした熊本空港アクセス鉄道に関する投稿へのアクセスが増えていました。
●コラム_各空港のアクセス実力比較2(2025年01月11日 up)
●コラム_各空港のアクセス実力比較1(2025年01月10日 up)
●コラム_熊本アクセス鉄道意味無?(2024年09月20日 up)
●コラム_熊本はアクセス不便?(2024年08月14日 up)
何事かと思ったら、どうも、同路線の新ルートが公表されたことから、注目度が上がったようです。
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阿蘇くまもと空港アクセス鉄道整備調査における鉄道ルートの絞り込み結果について(熊本県公式サイト)今回出されたのは
「新ルート」ではなく、ただ単に、通る場所を幅500メートルまで絞り込んだだけのもの(鉄道ルートの絞り込み結果)です。
この報道で、空港駅が空港敷地外(最短でターミナルから120メートル離れた位置)の地上に設置と示されたことで、「離れすぎ」といった意見が出て少し騒ぎになっているようです。これを深堀りしてみます。
■空港駅予定場所はターミナルから120m?空港駅の位置は、ターミナルから120メートル離れた位置と報道されています。県の会議でも、ターミナル直下にすべきと意見が出ていたようです。
当該記事はこちらです。
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空港アクセス鉄道、絞り込みルート案 南側に駅、トンネルや中間駅も(熊本日日新聞社公式サイト)→
空港アクセス鉄道 駅は熊本空港南側の敷地外に 空中回廊や地下通路での接続を検討(テレビ熊本公式サイト)実は、
今回出された資料では、空港駅の具体的な位置について記載されていません。
資料上、
計画ルートが地図上に500メートル幅で描かれているだけで、報道のようにターミナルから120メートル離れた位置となるのは、この500メートル幅の中心付近を通った場合と推定されます。
一応、この幅の一番北側を通った場合は、ターミナルに駅ができる位置にルートの線が塗られていますが、
文字で「空港南側(敷地外)の地上に整備する。」と明記されてしまっています。
さらに熊本県の会議では、空港隣接地に設置する旨の発言があったようです。
ターミナルから空港敷地境界までは最短で約120メートルあります。ターミナル地区南側に、空港敷地にビタビタにくっつけて整備すれば、ターミナルから120メートル離れることになります。
このことから、一部の報道がターミナルから120メートルと報じているようです。
ただ、これは最短距離の場合です。
駅の位置が示された500メートル幅の一番南側に設置された場合は、ターミナルから450メートルほど離れてしまいます。また、ターミナル正面から東西位置がズレると、さらに遠くなってしまいます。
120メートルとは、ターミナルから空港敷地境界までの最短距離です。最長だと約450メートル以上離れます。120メートルというのが、一人歩きするのは懸念事項ですね。

熊本空港の現状。第二駐車場から西を向いた様子。左の道路の左側が空港敷地境界です。
立体駐車場の右側に見えるのがターミナルです。
120m地点は、中央やや左寄りの奥に見える森の部分と推定されます。
(まとめ) ▶今回示されたのは500m幅のルート案 →図の上では空港駅付近はターミナル含めた500m幅。
▶空港駅位置だけは空港敷地外を宣言 →文字で「空港南側(敷地外)の地上に整備する。」と明記。
▶空港敷地境界までの距離は最短約120m →ターミナル正面設置で駅↔ターミナル間距離は120m〜450mと範囲広い。
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■ターミナルから120メートルは遠いのか?この
ターミナルから120メートルが実際遠いのかを考えてみます。
なお、検証に入る前に気を付けたいのは、前述の通り、明らかになったのは「空港駅は空港敷地外」ということだけという点です。
ターミナルからの距離は、最短で120メートルなだけで、位置によっては300メートルとか400メートルとかもっと長くなる可能性があることは注意が必要です。何度も書きますが、
最長だと450メートル離れ、ターミナル正面から東西方向に位置がずれると、さらに距離が延びてしまいます。
他空港の状況と比較まず、他の空港駅が空港敷地からどのくらい離れているのかみてみます。
▶空港敷地内(ターミナルと一体)
新 千 歳:0m(ターミナル地下)
成田国際:0m(ターミナル地下)
東京国際:0m(ターミナル地下 or ターミナル横)
福 岡:0m(ターミナル地下)
▶空港敷地内(ターミナルとは別=下記数字はターミナルまでの直線距離)
仙 台: 50m(正面/前面道路挟んだ向かい)
中部国際: 40m(正面/前面道路挟んだ向かい/第2迄は370m)
大阪国際: 50m(正面/前面道路挟んだ向かい)
関西国際: 40m(正面/前面道路挟んだ向かい/第2迄は1,000m)
神 戸: 10m(正面/前面道路の上/第2迄は150m)
宮 崎: 10m(正面/ターミナル横)
那 覇:100m(正面/前面道路挟んだ向かい駐車場を超えた位置)
▶空港敷地外(下記数字はターミナルまでの直線距離)
美 保:240m今回は直線距離で示しました。実際に歩くとなると、ホーム〜改札口〜ターミナル入口と移動するので、距離は伸びることに注意が必要です。例えば仙台は最も短い直線距離では50メートルですが、実際の徒歩移動距離は、改札口〜ターミナル入口だけでも約100メートル必要です。
空港敷地外の設置は美保(米子鬼太郎)以外見当たりません。
イメージとしては参考にできますでしょうか。ターミナルから120メートルなら美保よりは近く、300メートル位だと美保より遠いです。
また、
120メートルだと那覇と同等な感じです。駐車場を越えた先にある、という点も酷似しています。
中部や神戸なんかは第2ターミナルが遠すぎて使う気にならねーと少し話題のようです。また、東成田駅と第2ターミナル駅間の地下道が500メートルなのですが、そこはもうメンドクセー通路で異世界への入り口なんて称されています。
一方、みんな大好き羽田では、端の搭乗口になっちゃったらターミナル内での移動は1キロメートルを超えることが普通にありますが、鉄道が空港直結だから利便性最高みたいに思われています。例えば第2ターミナルで京急線利用の場合、改札口までは、一番近い到着口からは200メートル、ターミナル端から130メートル(+上下動エスカレータ2回)も移動が必要です。それでも鉄道利便性抜群と思われていますから、結局、距離だけではなく、イメージ先行なのが分かります。
要は、
駅に降り立ったとき、駅に向かう時に、ターミナル目の前!という見せ方をできるかが勝負な気もします。熊本が敷地外に整備するのなら、そこは絶対的に魅せられないと、鉄道不便烙印を押されかねません。
120メートルなら許容範囲に感じますが、他空港の事例を見ると、最長の450メートル離れてしまうと、遠すぎ!となりそうですね。

鉄道近接で知られる神戸空港。改札口を出たら、すぐそこに
ターミナル入口があり、同じ建物内のように感じます。
ターミナル正面(前面道路上)に整備された例です。

鉄道が目の前と言われている宮崎空港。
ターミナル入口を出たあと、すぐ横の階段を登ると鉄道駅です。
ターミナル横に整備された例です。

多くの空港が採用のターミナル正面配置は仙台空港が好例です。
左側がターミナル、右側が鉄道駅で、この位置関係だと約50mです。
ターミナル正面(前面道路を挟んだ位置)に整備された例です。

美保はターミナルまで約240mですが、遥か遠くの印象。
間の道路を渡るのは歩道橋で、その上下動もあり面倒くさいです。
空港敷地外に整備された例です。 他の参考距離と比較次に空港駅以外に、参考になりそうな距離(いずれも徒歩距離)を測ってみました。
120メートル〜450メートル地点に整備するのは果たして不便と感じますか?
・大分空港 ターミナル〜船舶ターミナル間=120m
・長崎空港 ターミナル〜船舶ターミナル間=290m
・羽田空港 第3ターミナル〜船舶ターミナル間=700m
・中部空港 第1ターミナル〜船舶ターミナル間=330m
・神戸空港 第1ターミナル〜船舶ターミナル間=350m
・関西空港 第1ターミナル〜船舶ターミナル間=1.2km(直線距離、連絡バスのみ)
・熊本空港 ターミナル〜同第三駐車場間=350m
・岡山空港 ターミナル〜同第四駐車場間=300m(連絡バス運行中)
・広島空港 ターミナル〜レンタカーターミナルのりんちゃい間=130m
・成田空港 第2ターミナル〜第3ターミナル間=300m(連絡バス運行中)
・成田空港 第1ターミナル〜東成田駅間=1km(開港当初連絡バスでの移動)
・平成5年の移転前の羽田空港旧ターミナル〜旧羽田空港駅=1.4km(当時連絡バスあり)空港関連施設の場合、船舶ターミナルまでの距離が一番参考になりそうでしょうか。
就航路線の利便性もあるので、ターミナルからの距離だけで比較は難しいですが、大分ホーバーや神戸は選択肢としてバスと並列な感じを保てている印象。一方で300メートルほど離れている長崎や中部国際は利用者が少なく維持するのが結構大変な印象です。700メートル離れた羽田はもう知られてもいない感じで、全然活用されていません。
船舶ターミナル以外では、
広島空港の施設配置が非常に参考になります。
ちょうど、レンタカーターミナルのりんちゃいが、ターミナル正面130メートル離れた位置にあります。ターミナルから空中回廊で結ばれていて、120メートル離れた場合の熊本空港駅とおそらく同じような感じになると思います。
そして、430メートル程度離れた所に八天堂ビレッジがあります。熊本空港駅が(ターミナル正面位置で)一番離れた時に450メートル程度離れますから、こちらも同じような感じになると思います。
レンタカーターミナルのりんちゃいはそれほど離れていない印象ですが、八天堂ビレッジは歩いていくのとてもしんどいです。正直送迎バスあればなあ、という距離と思います。
送迎バスと言えば、熊本空港の第三駐車場はそうではないようですが、
空港では大荷物持っている人も多いので、300メートルくらい離れると、連絡バスを運行するのが普通です。レンタカー送迎車が良い例ですね。
そういった他空港の事例から歩ける距離を考えると、
300メートル前後がギリギリ許容範囲内といった印象でしょうか。
続いて空港以外の交通拠点の距離を見てみます。
・熊本市役所(熊本市中心部)〜熊本空港行バス乗り場=350m
・熊本市役所(熊本市中心部)〜博多行新幹線乗り場=2,700m
・熊本駅新幹線改札口〜熊本空港行バス乗り場=250m熊本を行き来する人は、熊本市中心部と福岡空港間を移動する際の、新幹線利用までの2.7キロメートルもの移動は苦にならないのですから、120メートル移動くらい屁でもないのではないでしょうか。
それは極端な例としても、現在、熊本駅新幹線改札口〜熊本空港行バス乗り場の250メートルは皆が移動できています。
やはり
300メートル程度までは許容範囲と言えそうです。
最後に現行の交通機関と比較で見てみます。
・肥後大津駅改札口〜熊本空港行バス乗り場=10m現在は肥後大津駅での無料バスへの乗り換えは10メートルです。空港のバス乗り場はターミナルの目の前。肥後大津駅〜空港間は15分なので、現行は乗り換え所要時間含めて15.5分といったところです。
一方、今回の鉄道は熊本空港〜肥後大津間は10分と推定されています。熊本空港駅がターミナルから120メートル地点なら徒歩1分30秒なので11.5分。320メートル離れると14分かかります。
400メートル程度離れてしまったら、現行のバスと所要時間にほぼ変化がなく、整備するだけ無駄と言えそうです。
400メートル程度離れてしまうのなら、現行の無料バスをもっと使いやすくする方が効果的です。

参考になるのが広島空港です。
左の灰色建物(のりんちゃい)←立体駐車場奥の白屋根→右のターミナルが約130m。
400mだと八天堂ビレッジまで行く感じと言うと分かりやすいでしょうか。

長崎空港の船舶ターミナルへ行くための通路。
ここは全体の4分の1も写っていませんが、延々歩かされる印象です。

現行の空港〜肥後大津駅間の無料乗り合いタクシーは
肥後大津駅ののりばが改札口の目の前なので乗り換えは実質1分程度。
空港駅の徒歩距離が長いと「バス所要時間=鉄道+徒歩所要時間」になってしまいます。
(まとめ) ▶ターミナル〜空港駅間が120mで済むなら →那覇空港駅や広島空港のりんちゃいが同等のイメージ。あまり抵抗ない?
▶ターミナル〜空港駅間が300m程度まで伸びると →空港駅では日本一遠い、連絡バスも必要になるかも。
▶ターミナル〜空港駅間が400m超えの場合 →現行の無料バスと所要時間がほぼ同じになり鉄道を整備する意味なし。
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■地下駅だと費用増加が150億円は高いのか?豊肥本線複線化はその20倍費用増加するけど、、、次に、
地下駅だと追加費用が150億円以上かかり無理、とされていることについてです。
全体の工事費用はまだ出ていませんが、今回の熊本空港アクセス鉄道の、
以前出されていた概算は410億円でした。地下駅だと150億円増加するとなると、パッと見、割合的に絶対的に無理です。
そもそも今回の鉄道は費用便益分析が1ギリギリなので、費用が増した途端、1を切ってしまいます。1を切る案件には国からの補助金が出づらくなるので、地下駅にすることはできないようですね。
ただ、今回の場合、
最初の比較で別交通機関と比較しており、元々410億円のものが「地下駅だと+150億円(=つまり560億円)になります、ハイ、無理」と言うのはあまりにもおかしな話です。
だったら、そもそもの比較の時に、410億円ではなく、560億円かかるとして比較しなきゃいけないでしょ。
例えば当初計画で410億円だったものが、地上駅だと310億円、地下駅だと460億円位なら、410億歩譲ってまだ納得もいきますが、、、。
それとも地下駅だと410億円、地上駅だと260億円という意味でしょうか?それだったら410億円かかるのは初めから分かりきっていることで、無理と言うはずはありませんし、謎です。
中間駅設置を検討しているようですが、プラス150億円を出せねーと言ってるのに、中間駅は設置できるって、お笑いにも程があります。
※駅1つ造るのって、例えば神奈川県の小田栄駅が6億ぐらいで、その時に通常駅1つ造るのに20億くらいかかると話題になりました。+150億円以上とは、随分な差ですね、、、。例えば、福岡の七隈線延伸では2駅付きで総事業費は600億円弱くらいでした。博多駅はかなり複雑な工法構造だと思うので、+150億円より全然高いと思いますが、そうなると総事業費の6、7割は地下駅分ってことになりますから、地下駅ってかなりお高いんですね。結局、
肥後大津案を採用するために、比較のときはその費用をとにかく矮小化したということなのでしょう。
未だに豊肥本線の複線化費用は加算されていませんし、とにかく肥後大津案の費用を低く低く低く低く低く低く見せようとしているのは、非常に心象悪いです。
そして、
最も重要な視点は、肥後大津案の熊本空港〜熊本駅間の所要時間40分切りを実現するためには、豊肥本線の複線化が不可欠という点です。
豊肥本線区間は22.6キロあります。6.4キロの熊本空港アクセス鉄道建設費が地下駅じゃなくても410億円ですから、
単純計算で1,400億円位はかかるはず。そうなると、総事業費は本当は1,800億円になります。410億円が560億円になるなら費用が4割近く増すので無理な印象ですが、1,800億円が1,950億円上がるのは1割増なだけ。それでもやっぱり耐えられないですかね。
しかも、豊肥本線区間は、クソ田舎とバカにしている地域を走る熊本空港アクセス鉄道通過地区より街なかで、土地買収費は高天井です。総事業費が1,800億円で収まるとも思えません。
じゃあ、土地買収費を削減するため、
買収しないで、一線分は現線路の下に地下鉄で造るとなったら、どうなるでしょう。比較的安く済んだとされている横浜ブルーライン延伸線ですらキロ当たり265億円で、単線なのでかかる費用が「その半分だとしても」3,000億円かかります。=総事業費3,400億円あれ?確か、昔の比較の時に、熊本市中心部から空港までモノレール建設とした費用は似たような値段が出ていたような記憶があるのですが。当時とはお金の価値が違いますから単純比較はできないんでしょうけど。
なんだか、
空港駅について120mとか150億円とかでガーガー文句の言い合いになっているのが、こすたくりんですね。(熊本弁合ってます?)
※以前のコラムで話を出した熊本市中心部直結と考えた場合の費用を考えてみます。
空港〜九州道と国体道路交点付近間 地上8km程度=単価は肥後大津案基準
九州道と国体道路交点付近〜桜町間 地下(道路下や白川小下等)10km程度=単価は横浜ブルーライン延伸線基準(半額には敢えてしません)
とすると3,200億円程度。新路線造っても、かかる費用は大して変わらんのですけど、、、。今回の
空港アクセス鉄道は、空港アクセスを目的としてわざわざ整備するものです。
周りの地域が便利になるとかは正直どーでも良いわけで、まずは空港利用の利便性が最優先のはずです。
ところが、空港駅の設置位置からして、そこは二の次になっていることが分かります。検討会議の中で空港敷地外設置なら周辺振興にもなるなどと、軽々しく宣ってしまう辺り、空港アクセスの目的が完全に失われていますね。
ターミナルまで120メートルあってもアクセス利便性が変わらないなら、地下駅で敷地外まで120メートルかかったとしても周辺振興への影響は何も変わらないはずなので、言ってる論理が破綻していますし。
そもそも今回採用されたアクセス鉄道ルート自体、「熊本市中心部へのアクセス向上」という整備目的を完全に逸脱しています。
結局、大津町とか西原村の振興策として整備するのであって、たまたまそこに空港があったから空港アクセス線と称しただけとも言える状況になってしまいました。
空港の振興であれば、日本国の価値向上に繋がりますが、それが二の次なのであれば、意味があるのは日本国ではなく地元なだけ。こんなのに、国は補助金出したらダメですね。県と村で金出して頑張りなさいよ。といった感じでしょうか。
まあ、あとから費用が上がっても、建設が決定さえしてしまえば、建設は止まらないでしょうから、県はとにかく安く見積もって、国から補助するというお墨付きを引き出せれば良いわけで、建設決定まで持っていくのに躍起になっているのかもしれませんね。
(まとめ) ▶地下駅にかかる費用 →概算は410億円から150億円増加で割合的に絶対的に無理。
▶肥後大津案で熊本駅まで40分切りには豊肥本線の複線化が不可欠 →総事業費は本当は3,400億円?熊本市中心部まで新線整備と変わらない?
▶空港駅を敷地外に設置する理由は地域振興? →空港アクセスの目的がまた二の次になっている。
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■ターミナル地区に駅設置可能な場所はあるのか最後に、ターミナル目の前への駅設置にこだわるのなら、今の建物の状態で地上駅として設置可能な場所は本当にないのか考えてみましょう。
まずは駅と鉄道に必要な地上領域を考えてみます。
参考になるのは仙台空港駅です。
仙台空港の場合、駅長さが約200メートル(ホームは長い方で6両分=約120メートル足す余長)、そこから地下に入るまでは約520メートルあります(道路を越えたあと約400メートル)。仙台空港駅は高架ですから、高低差は地下に入るまでのアプローチは少し長いです。
また、地上駅から地下に入り込むアプローチの長さは、羽田空港近くの、穴守稲荷駅から地下に入る京急線がとても参考になります。こちらは駅横の踏切を過ぎてから傾斜しており、約110メートルで地下に入れています。
(1)降車レーン辺りが唯一の候補?以上の条件を元に考えてみると、
ターミナル目の前の降車レーン辺りが活用できるかもしれません。唯一の候補ともいえるよう位置です。
ターミナル目の前の降車レーンは長さ約160メートル。そこから道路との境目(第一駐車場と第二駐車場の間の道路)まで約80メートルあります。合計で240メートルは捻出出来ます。例えば
6両分ならホームは120メートル強で済みます。つまり、240メートルあればギリギリトンネル出口から地上駅設置は可能です。(ギリギリすぎるので、第二駐車場を一部切り欠いて道路を少し遠回り化などの工夫は必要)
駐車場の車道やアプローチ歩道の切り回しなどを考えなければなりませんが、単純に考えると、この降車レーン辺りに地上駅での設置は可能なはずです。
降車レーンと第一駐車場の駐車枠を使えば、横幅も最大22メートル位は確保できるので、充分設置が可能です。(参考までに、仙台空港は駅の幅が二線島式で17メートルで済んでいますので、駐車場の駐車枠は諦めざるを得ないにしても車道は確保できますね。)
課題は、第一駐車場〜ターミナル間の徒歩経路と降車レーンの代替です。
駐車場の徒歩経路は、東端と西側は行き来が可能ですし、駅に邪魔される中央部分は連絡歩道橋を設ければ良いだけ。
降車レーンの代替は、東西にあるバスプールのいずれかを活用すれば十分に可能です。(福岡の南乗降場のような感じ)
駅をターミナルと駐車場の間に設けて、駐車場からのみ連絡通路とすれば、連絡通路の長さも短く、かつ土地買収も不要ですから、敷地外に駅を造るより、さらに安く済ませられます。
(2)そらよかパークと東側団体バス乗り場を活用?また、
そらよかパークと東側団体バス乗り場を活用する方法もあります。
東側団体バス乗り場の南東角〜別棟のギリギリまで斜めに駅を設置すれば、なんとか120メートル程度は確保出来ます。そこから地下へのアプローチは、第二駐車場で処理すれば設置は可能です。この場合、ターミナル目の前の道路をいじる必要がありません。(東側団体バス乗り場〜第三駐車場間の道路は閉鎖が必要)
ただし、この場合、ターミナルを拡張しようとした場合に、駅が邪魔になってくるので、将来拡張性に疑問符が付きます。
(3)立体駐車場の北側なども駅設置可能な隙間このほか、
立体駐車場の北側なども駅設置可能な隙間がありますが、それだと空港敷地境界ビタビタの位置に設置の場合とほぼ変わらない位置になります。無理をしてまで設置する場所ではないでしょう。
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以上の通り、
地上駅にこだわってターミナル至近で整備するとすれば、「降車レーン付近」か「そらよかパーク付近」の2択になってくると思われます。ただ、両者ともにホーム延伸は難しく、将来拡張性という点ではあまりよろしくない位置。
既存道路の間でチマチマ工事をするくらいなら、敷地外にポンっと駅を設置する方が手っ取り早く、将来性もありと言えます。
そして、
いずれにしても、鉄道駅をターミナル至近の地上に整備するとなると、道路の一部付け替えが不可欠になります。
熊本空港アクセス鉄道は、熊本市中心部とのアクセス向上のためにやるのですから、最優先は鉄道、道路交通(特に公共交通でない自家用車)は二の次という割り切りも必要です。
別にバスをターミナルの目の前に付けなければならないという法律はありませんから、最悪、バス発着場や降車レーンを空港敷地外にすれば良いだけではないですか?
とまで書くと少し過激ですが、、、。120メートル程度徒歩移動になるくらいで道路が不便になるとか、言って欲しくないですね。
熊本市内行きバスは全廃に追いやられるぐらい鉄道が便利でなければ、空港アクセス鉄道を整備する意味がありません。そして、バス便がほとんどなくなるのなら、前面道路は容量が小さくても問題ないはずです。
逆の見方をすると、
バスが今と変わらないか微減でしかないのなら、熊本市中心部とのアクセス向上が未達成ということになりますから、空港アクセス鉄道に税金を投入する意味がありません。最優先は鉄道、道路交通(特に公共交通でない自家用車)は二の次と割り切れるかは非常に重要な視点です。

ターミナル至近で設けられる可能性があるのが降車レーン付近。
前面道路と立体駐車場の間です。

ターミナル東側の団体バスのりば付近も隙間あり。ただし長さがギリギリです。
写真奥に写る道路の付け替えがポイントの一つです。
降車レーン付近でも東側の団体バスのりば付近でも、写真奥の塔とそらよかビジターセンターの間で線路と道路を処理できることが条件。
(まとめ) ▶既存建物を避けて設置できる場所 →降車レーン付近ならなんとか実現可能かも。
▶ターミナル至近の地上に鉄道駅を設置するなら →道路付替不可欠。鉄道第一、道路は二の次にする割り切りが必要。
▶ターミナル至近の地上に鉄道駅を設置するなら →土地買収不要。連絡通路短くなり、より費用の削減が可能。
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ということで、軽く熊本空港駅の設置位置について考えてみました。
鉄道駅を敷地内(ターミナル目の前)にもってくることに拘っている人が多いですが、敷地外設置でも離れなければ問題なさそうですし、敷地内に地上駅を設置することも可能のように感じます。
賛否両論あるようですが、空港敷地にビタビタにくっつけられるなら、正直どっちでも大して変わらない気がします。
それよりも、ドンドンドンドン当初の構想から逸脱していっている鉄道整備の目的について、当初の目的(空港と熊本市中心部のアクセス向上)に立ち返り、もっと当初の目的を意識した空港アクセス鉄道にしてほしいものですね。
7月下旬には周辺町村で説明会も開かれるようですので、地元の方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
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阿蘇くまもと空港アクセス鉄道に関する住民説明会の開催について(熊本県公式サイト)今回のコラムはこれにて〆ます。長々失礼しました。